【やじうまミニレビュー】もはや16GBは時代遅れかも……ノートPCのメモリを64GBに増設してみた - PC Watch
筆者はほぼ100%在宅勤務へと移行しているが、その中でノートPCを使う機会も増えてきた。仕事部屋には強力なスペックのデスクトップPCがあるので、ほとんどの業務はそちらでこなしているが、リビングで仕事をこなす機会もあり、その際はゲーミングノートを使っている。
ほぼこの1年間、ASUSの「Zephyrus G14」で仕事をこなしてきた。プロセッサは8コア16スレッドなので処理で不足を感じたことはないのだが、Photoshop CCを使って写真を編集する際に気がかりなことが1点あった。当初広大だと思われた16GBのメモリを、画像を20枚程度開いただけで使い切ってしまうのだ。
6月に、長年使ってきてグリップ部の革が剥がれてきた「PowerShot G16」に代わり、「PowerShot G1 X Mark III」というカメラを購入して、記事の写真撮影で使っているのだが、画素数が1,210万画素から2,420万画素へと倍増したおかげで、データ量が増えたのがおそらく最大の原因。1枚開くごとに200MB~300MB程度メモリが消費されていく。
筆者の仕事では、1時間程度の取材で100~200枚程度シャッター切るのは当たり前だ。その中でまずはピントが合っていない、露出が合っていない写真をフォトビューワーで選択して削除していくのだが、残った適正ピント/露出の写真はとりあえず全部残してPhotoshopでまとめて読み込んでしまう。その中でPhotoshopのタブを切り替えながら複数枚の写真を比較し、より良く撮れている方をそのまま編集するという作業フローだ。
すると当然、「ベストショットだけ」と言っても100枚程度は残っており、一気に読み込もうとするとあっという間に16GBのメモリがなくなってしまい、SSDへのスワップが始まり、速度が大幅に低下する。それどころか、143枚の写真を放り込んでみたら読み込み途中でエラーを吐き出して強制終了する始末である。
143枚の画像を読み込もうとしたら、クラッシュしてしまったPhotoshopそこで、もう少し快適に作業できるようにと、メモリ32GBの安いゲーミングノートを……ということで、Core i7-11800Hとメモリ32GB、ストレージ1TB、GeForce RTX 3070、そして筆者の必須要件であるWUXGA液晶を備えた「ThundeRobot Zero」というノートを海外のECサイトでBanggoodに発注したのだが、3週間待って届いたのはなぜかメモリ16GB+512GBのモデルだった。もちろん、Banggoodに連絡して差額分を返金してもらったのだが、さすがに同じメモリ容量にゲンナリしてしまった。
ただこのノート、一般的なDDR4 SO-DIMMモジュールを採用しているため、増設は可能となっている。そこで今回はG.SKILLの「F4-3200C22D-64GRS」という32GB×2枚組のメモリモジュールで、一気にメモリを64GBまで増設してみた。この製品はDDR4-3200という高速性、合計64GBという大容量でありながら、3万円台という比較的安い価格で販売されている。
換装の標的となったThundeRobot Zeroというノート。中国の中堅メーカー製だ底面を開けたところF4-3200C22D-64GRSのパッケージ標準ではSamsungの8GB×2が使われていた増設は簡単で、底面のネジを外し、ツメに注意しながら底面カバーを取り外し。オリジナルのモジュールと交換する。たったこれだけだ。ちなみにメモリ交換後の最初の電源投入は、画面が暗いまま1分強という長めのイニシャライズが入るのだが、即電源がオフになったりエラービープ音が鳴ったりしない限りは正常なので、少し待つと良い。
ちなみにG.SKILLのこのメモリ、HWiNFO64で見る限り、SK hynixのチップが使われている模様。CLは22-22-22-52で、電圧は1.2VとJEDEC準拠だ。発熱も抑えられており、非常に安定している印象。このあたりはさすが長年メモリ一筋のG.SKILLだと感じた。限定永久保証も付帯しているため、安心して利用できる。
こうしてメモリ64GBとなって生まれ変わったマシンだが、先程と同じ143枚の写真をPhotoshopに放り込んでみたところ、問題なくすべて開けた。この時点でタスクマネージャーでは41.4GBほどメモリを消費していると表示が出た。32GBではなく、64GBを選んだのは大正解だろう。これなら1回の撮影の写真を全てPhotoshopに放り込んで作業できそうである。
メモリを64GBまで増設したら、Photoshopで50GBほどまで利用できるようになった画像を143枚放り込んでみたところ、40.9GBが消費されたメモリ消費量の多少は、ユーザーの使い方にも大きく関わってくるし、筆者が使っているカメラがたまたま2,400万画素クラスだったので、メモリ16GBではいささか窮屈だったというだけの話……なのだが、正直、筆者はメモリのヘビーユーザーであるという自覚がないのに、気づいたら16GBでも足りなくなっていたわけだ。
考えてみれば、OSの違いによりメモリ管理や使用方法が違うとは言え、スマートフォンでも8GBが当たり前、10万円出せば12GBや16GBメモリ搭載機が買えるこのご時世、もっとクリエイティブなことができてマルチタスクも当たり前、より高価のPCで、スマートフォンと同じ容量のメモリであること自体、おかしな話ではある。
もしかしたら、HDDからSSDに変わったタイミングで、スワップファイルにアクセスしていてもそれに気づかず使っているユーザーは、実は多いのではないのだろうか? 普段からタスクマネージャーを見るクセをつけておくと、自分のPCに不足しているリソースは何なのか、気づけるかもしれない。
巷のメインストリームPCはまだ8GBが主流、ゲーミングと言っても16GB程度、ハイエンドでようやく32GB……という状況は、なんとなくWindows 95がリリースされた当初の8MBと16MB、32MBの関係に似ているように思うが、Windows 11が普及していくにつれ、メモリ64GBが当たり前の時代も、実はそう遠くないのではないかと思うのであった。