上がった大学・伸びる学部84校~Fランク脱出/情報系/観光・国際系~コスパのいい大学2022

◆コロナ禍と不安渦巻く2022年入試

大学入学共通テストは1月15・16日に終了。これから本格的な大学入試シーズンに入ります。

オンライン個別指導サービス「スタディコーチ」を提供するBuilds(ビルズ)は今月12日、高校3年生330人を対象としたネット調査の結果を発表。

同社によると、コロナ禍で「悪い影響を受けた」と感じているとしたのは39.2%。

さらに、2回目となる共通テストについては75.2%が「不安がある」と回答しました。

共通テストについては、「数学が現代文の問題かと思った」「国語・現代文の『あなたは豚肉です』が意味不明だった」など、様々な意見がネットに出ています。

そんな共通テストが終了し、国公立大・私立大とも個別入試に入っていきます。

受験生とその家族は短い時間で志望校を選択しなければなりません。

筆者はその一助になれば、ということで2020年に「コスパのいい大学~偏差値40~50台私大・学部の人気化&穴場予想59校」を執筆、公開。その結果、ヤフトピ入りこそしないものの、その後、長く読まれる記事となりました。

そこで、本稿では「コスパのいい大学2022」と題して、最新情報を提供します。

具体的には「Fランク・Fランク寸前から脱出した大学」「人気上昇中の情報・データサイエンス系学部」「コロナ禍で人気が下落した観光・国際・外国語系学部」の3点について、延べ84校をご紹介します。

◆コスパのいい大学・その1~Fランク・F寸前からの脱出

現在、40代~50代の保護者が大卒だった場合、大学生だった時期は1990年代から2000年代にかけてです。

この時期は就職氷河期が長期化する一方、大学進学率が上昇し、大学数も増加していきました。その反動から、定員割れとなる私立大学も増加。2003年には広島県の立志舘大学が募集停止となり、以降、募集停止・廃校となる私立大学が10校程度、出てしまいました。

その結果、偏差値がつかない私立大学をボーダーフリーとして、そこから「Fランク大学」という用語が定着します。

こうした影響からか、現在の受験生の保護者、それからニュース番組等に出演するコメンテーターは、自身の経験・知見から「××大学?あれ、相当、偏差値が低くなかったか?」などと断じがちです。

さらに、受験生はネットに定着した「Fランク大学」に過敏となりがちです。

実際には、都市部を中心に、Fランク大学は相当減っています。

これは、定員の厳格化(2016年以降)、東京23区内の新設抑制(2019年から10年間)、共通テスト敬遠(2021年)の3点が影響、その結果、都市部の私立大は2010年代後半から入試が激戦となりました。

東京都内が一番厳しく、その影響は首都圏や関西圏の私大も受けています。

コロナ禍で私大の志願者数は減りましたが、都市部の私大が激戦であることはそう大きくは変わっていません。

この項目では2000年代にFランク大学と目されていた大学のうち、志願倍率・偏差値が大幅に上がった24校をご紹介します。

「Fランク大学と目されていた」は、具体的には、「2010年またはそれ以前に偏差値がBF(ボーダーフリー)だった」「偏差値は付いていたが35.0~37.5」「志願倍率が2倍以下」のいずれか。さらに「複数の学部ないし入試方式で2019年に偏差値が40台に上昇」となった大学です。

※以下、志願倍率は『蛍雪時代臨時増刊 大学受験案内号』(旺文社)記載の数値

※偏差値は河合塾偏差値/BFは「ボーダーフリー」で偏差値が付かない状態

※偏差値は杏林大学は文系2学部のみの数値

※偏差値で早稲田大学国際教養学部の2021年数値は偏差値ではなく共通テストの得点率

※一部の学部については前身の学部・学科の数値を記載

※「-」は非公表・設立前など

※倍率は大学全体での数値

この24校を見ていくと、「好立地」「学部が成長」「大学改革」のいずれか、または複数に該当します。

◆Fからの脱出・その1~好立地

まず「好立地」について。

受験生からすれば、通学しやすい立地にある大学であればそれだけ志望度が上がります。

1990年代以前だと、大学業界では学生運動対策に加えて、進学率の上昇から「立地が悪くても学生は集まるだろう」という驕りが見え隠れしていました。

しかし、2000年代以降は郊外から都心への移転が進みます。さらに2010年代半ばから東京・首都圏の大学入試が激戦になり、もともと立地の良かった大学も人気化します。

この立地の影響を受けた大学が、東京富士大学と杏林大学です。

東京富士大学は山手線・高田馬場駅から徒歩3分という好立地にあります。

高田馬場駅と言えば、早稲田大学が有名です。実際に、早稲田出身のメディア関係者に東京富士大学の話をすると「そう言えば駅で看板を見たことがある」などの反応が返ってきます。

2000年代までは低倍率に苦しむ大学でした。

しかし、2010年代から立地の良さなどが見直され、人気化。2004年には32.5だった偏差値は2019年には42.5~45.0まで上昇。コロナ禍でも志願倍率を上げた、数少ない大学(約60校)の1校であり、偏差値は47.5となっています。

「事業を授業に」がキャッチフレーズで、2019年にはアイスクリームプロジェクト(ロンドンオリンピック・金メダリストの松本薫さんが商品開発に参加)による店舗を大学構内にオープンしました。

杏林大学は医学部が有名であり、医学部と保健学部は開学以来ずっと順調に学生を集めています。問題は文系学部である、総合政策学部と外国語学部です。

八王子駅からバスで30分のところにキャンパスがあり、立地の悪さという点で相当、損をしていました。当然ながらこちらも低倍率に苦しむ私大の1校でした。

大きく変わったのは2016年の井の頭キャンパス移転です。

中央線吉城寺駅からバスで約15分の好立地に移転。キャンパスが新しいことも「新しいキャンパスで学びたい」とする受験生心理に好影響。

結果、「八王子時代の暗い雰囲気は消え、学生の質も上がった」(杏林大学教員)となるほど、大きく変わりました。

総合政策学部は2021年には、投票促進行動の一つであるセンキョ割プロジェクトに関わり、その様子が、「NEWS ZERO」など各メディアで取り上げられるほどでした。

なお、この好立地、単に移転、というだけではありません。詳細は寸評に出しましたが、新路線が開通した、などの事情も含みます。

◆Fからの脱出・その2~学部が成長

2点目は学部の成長です。

これは学部が注目された、あるいは、学部カテゴリー全体が伸びてその影響を受けた、などが挙げられます。

具体的には、次でご説明する情報系学部を擁する東京情報大学、神奈川工科大学、大阪学院大学、大阪電気通信大学などが挙げられます。

◆Fからの脱出・その3~大学改革

3点目は大学改革をきちんとできたかどうかです。

具体的には、共愛学園前橋国際大学、千葉商科大学、京都先端科学大学、四天王寺大学などが挙げられます。

共愛学園前橋国際大学は1999年開学。しかし、大学名の長さに加え、学部名の分かりにくさから2000年には早くも定員割れとなります。当時、地元・群馬県内の高校教員からは「生徒を行かせたくない」との評価が強くあるほどでした。

共愛が凄かったのは、ここからで、コース制の導入や実用英検2級による学費無料策など、大学改革を次々と実施。

その結果、群馬県内の私立文系大学では偏差値がトップに。さらに『大学ランキング2022』(朝日新聞出版)によると、「学長からの評価ランキング」では教育面で全国4位、総合でも11位と注目されています。

実用英検2級による学費無料策は2012年からは1年間のみ無料となりました。

現在は英検CSEスコア 2100や日商簿記2級などが対象です。

これも、受験生集めが順調であるからこそでしょう。

なお、同大がどのように大学改革を進めたのか、その詳細は2017年9月11日公開記事を参照してください。

Fランク寸前大学が全国5位大学に成長した理由~共愛学園前橋国際大学・学長インタビュー

千葉商科大学は学部新設や教育改革を進め、2018年から一部の入試で調査書の点数化を導入。2021年からは全学部で導入しました。

総合型選抜・学校推薦型選抜(旧・AO・推薦入試)、一般入試とも、調査書は40点の配点となります。一般入試だと、約1割の配点で、これは高校関係者から「高校時代の勉強や課外活動などを入試でも評価する良策」として好評です。

四天王寺国際大学は聖徳太子が建立した四天王寺を源とする仏教系大学です。1967年に四年制大学となった当初は女子大学(四天王寺女子大学)であり、1981年に男女共学と合わせて四天王寺国際仏教大学と改称します。

この長い大学名が受験生から敬遠され、2000年代は低迷していました。

それが2008年に現校名である、四天王寺大学に改称。

学部の再編や看護学部の新設などもあって、現在では関西の中堅私大として定着しています。

京都先端科学大学は1969年に京都学園大学として開学。当初、キャンパスは京都駅からJRとバスを乗り継いで約40分かかる、亀岡キャンパスにありました。

この立地の悪さが災いして、2010年代まで低迷していました。

ここで登場するのが、日本電産の創業者である永守重信氏です。2018年に同大の理事長に就任、2019年には学校法人の名称を永守学園、大学名称を現在の京都先端科学大学に改称します。合わせてキャンパスは京都駅から約16分の京都太秦キャンパスに移転、一部学部(バイオ環境学部と健康医療学部健康スポーツ学科は亀岡キャンパス)以外は立地の良いキャンパスで学ぶこととなりました。

2020年には工学部を新設するなど、大学業界では相当、注目されています。

キャンパス移転に大学改革、そしてその推進役が経済界で注目されている永守氏が理事長であり、一時期の低迷からは脱した、と評価できます。

ただ、永守理事長はこんなもので満足はしていないらしく、2030年には医学部新設を視察に来た萩生田光一・文部科学大臣(当時)に表明しています。

帝京科学大学:1990年開学。当初は山梨県上野原市のキャンパスのみ(現・東京西キャンパス)。2010年に千住キャンパスを開設、都内で学べる学部が増えたことなどが影響。アニマルサイエンス学科を2002年に開設するなど、動物看護分野にも食い込む。

デジタルハリウッド大学:2005年開設。株式会社立大学として設立された中で通常課程を展開する唯一の大学(通信課程・大学院は他3校)。キャンパスは秋葉原で情報クリエイターの養成が主眼。ソニー、博報堂プロダクツなど就職実績も順調。

東京未来大学:2007年開学。当初はこども心理学部のみの単科大で2012年にモチベーション行動科学部を開設。前者は保育士・教員養成ないし心理学、後者は心理学と経営学・教育学などの融合。

東洋学園大学:1992年開学。当初は千葉県流山市のキャンパスだった。2014年に本郷キャンパスに一部学部が移転、2016年は全学部が本郷キャンパス移転。国際系、人文系、経営系の3学部構成で教育熱心と評判。

ヤマザキ動物看護大学:2010年開学。校名通り、動物看護を主とする大学。2021年に動物人間関係学科を開設。

和光大学:1966年開学。小田急線鶴川駅から徒歩15分。リベラルな校風で有名。現代人間学部、表現学部、経済経営学部の3学部。

駿河台大学:1987年開学。駿台予備学校を運営する学校法人が運営。当初は法学部のみの単科大学。その後、新設や改組などで現在は5学部に。各学部とも15人程度の少人数ゼミを展開。2022年、箱根駅伝に初出場、注目される。キャンパスはドラマ・映画撮影などで利用される機会が多い。

江戸川大学:1990年開学。当初は社会学部のみの単科大学で、2006年にメディアコミュニケーション学部を開設、現在に至る。つくばエクスプレス開業でアクセスが大幅に改善、志願者数も増加した。

城西国際大学:1992年開学。同じ学校法人が城西大学を運営。当初は経営情報学部・人文学部の2学部だったが、その後、新設・改組を経て現在では千葉県内で最大の学部数を擁する。2005年に東京紀尾井町キャンパスを開設、経営情報学部グローバル経営情報コースとメディア学部映像芸術コースはここで学ぶ。2022年、安房キャンパスを閉鎖、観光学部も東金キャンパスに移転。

千葉経済大学:1988年開学。西千葉駅から徒歩13分、千葉駅からJRと徒歩、合わせても20分圏内という好立地。2学科あるが1年次は教養科目などを学び、2年次に学科を選択。キャリア別コース制度は7つあり、こちらは1年次に選択、途中変更も可。

明海大学:1970年に城西歯科大学として開設。なお、城西大学とは別法人。1988年に外国語学部、経済学部設置で現校名に改組した。キャンパスはJR新浦安駅から徒歩8分。1992年開設の不動産学部は全国唯一。

横浜商科大学:1968年開学。商学部のみの単科大学。地元の強みを活かして、湘南信用金庫、生麦商店街、大口商店街、横浜フリエスポーツクラブなどと連携。

大阪国際大学:1988年開学。前身は1965年開学の帝国女子大学。1988年~2002年は大阪国際大学と大阪国際女子大学が並立、しかも、キャンパスの一部が長尾にあり不便だった。2014年に現在の守口キャンパスに統合し学部改編もあって志願者を増やす。

大手前大学:2000年開学。前身は1966年開学の大手前女子大学。開学当初の2学部2キャンパスが、改組・新設や移転などの結果、現在は5学部構成に。キャンパスはさくら夙川キャンパスと大阪大手前キャンパスで学部により異なる。

◆コスパのいい大学・その2~新設相次ぐ情報・データサイエンス系学部

コスパのいい大学・その2は情報・データサイエンス系学部です。

これまで大学業界では社会のニーズの変化に応じた学部新設ブームが起きました。

情報・データサイエンス系学部の新設は2010年代からで、2017年には国立の滋賀大学、2018年には横浜市立大学がそれぞれ、データサイエンス学部を新設したことで話題となりました。

データサイエンスとは、「社会に溢れているデータから価値を引き出す学問」(滋賀大学データサイエンス学部サイトより)。

情報系学部の一種とみていいでしょう。この情報・データサイエンス系学部は2010年代に入り新設が続いています。

そのため、過去の学部新設ブームのように、一過性で終わるのか、それとも定着するのか、賛否それぞれ分かれます。

◆24歳未満の転職でも7割が年収アップのIT業界

私は医療系学部(2000年代前半~現在)や国際系学部(2000年代後半~2010年代半ば)などと同じように定着し、人気は高止まりのまま続くのではないか、と見ています。

その理由は、コロナショック前からの人材需要の高止まり、そして、コロナショックによるIT化の加速、この2点が挙げられます。

上がった大学・伸びる学部84校~Fランク脱出/情報系/観光・国際系~コスパのいい大学2022

まず、1点目の人材需要について。

これは、厚生労働省が出している雇用統計調査を見ていけば明らかです。

同調査では、どの業界・どの年代で転職すると、どれくらい年収が上がったか下がったか、そうしたデータも出しています。

2010年調査では、IT関連・24歳未満について「転職で3割以上年収が増加」は14.5%でした。

それが、2019年には32.7%に増加しています。

なお、「1割以上3割未満」は2010年・15.8%→2019年・21.8%。

「1割未満増加」は2010年・7.9%→2019年・22.8%でした。

つまり、年収が転職によって増加したのは、2010年は総計で38.2%だったものが、2019年には77.3%と倍増しています。

なお、25~34歳で「年収増加」の総計は2010年・38.3%→2019年58.3%でした。

このデータを専門商社の採用担当者に見せたところ、絶句していました。

「24歳未満と言えば、スキルも何もない。転職すれば年収が下がるのが常識です。それが7割も年収アップというのは驚きでしかありません。うちも、ITの専門人材を採用しなければ、と考えていました。しかし、このデータを見る限り、そう簡単にはいかないようですね…」

◆コロナショックでIT化が加速・人材を奪い合う時代

情報・データサイエンス系学部の新設が一過性で終わらない理由、2点目はコロナショックによるIT化の加速です。

それまで会議や打ち合わせ、授業や採用選考と言えば、対面で行うのが当たり前でした。就活においては、会社説明会やセミナーについても、対面であり、そのため、地方大学の就活生は説明会や選考のためだけに何度も東京や大阪にある企業を往復することが多々あったのです。

しかし、そうした光景はコロナショックで一変します。

感染リスクがある以上、会議などはオンラインで行うしかありません。

これは日本だけでなく、海外とのやり取りも同様です。

どう転んでも、IT化を進めるしかありません。

問題はコロナショックで日本が海外に比べて一周遅れどころか二周遅れであることが判明してしまいました。オンライン授業の環境が不十分、COCOAの開発が遅れる・普及しない、いまだにハンコ・紙の書類にこだわる…。本稿はあくまでも大学受験がテーマであるので詳細な説明は避けますが、IT化の遅れは随所にあらわれています。

一方、IT化を進める、ということで国家公務員・総合職は2022年からデジタル枠を創設することが決定済みです。

さらに2025年からは共通テストで情報が導入予定であり、国立大では情報を課す方針が2021年12月、国立大学協会で決まりました。

そのためには、各高校とも情報の教員を増やすことが急務です。

このように、民間企業だけでなく、公務員・教員でもIT系人材が不足しており、奪い合う状況です。

これは一過性のものではなく、コロナショック後も需要がさらに高まっています。

「データ分析ができる人材を採用する予定のある企業の約6割が目標人数を確保できていない」(日本経済新聞2021年4月4日朝刊「求むDX人材 パナソニック・NTT西日本、新卒で採用枠」/コメントはデータサイエンティスト協会)

以上、この2点の理由から、私は情報・データサイエンス系学部は新設が続いても、需要に追い付かない状況が続くもの、と予想します。

また、受験生にとっては、情報・データサイエンス系学部はコスパがいい選択、と言えるのではないでしょうか。

◆偏差値は5~15上昇、就職先も激変

前項「F脱出」と同じく、この情報・データサイエンス系学部についても、2010年・2019年・2021年の偏差値・志願倍率の変化を表にまとめました。

東日本・西日本とも2010年に設立済みだった情報系学部(一部は学科を含む)は2021年時点では偏差値が5~15ポイント上昇しています。

2010年時点では偏差値が35.0ないしBFだった12校のうち、10校は偏差値が5ポイント以上の上昇。さらに、東海大学情報通信学部・情報理工学部、明星大学、大同大学の4学部は10ポイントの上昇となりました。

偏差値だけでなく、就職先にも変化が表れています。

2012年就職先(2010年偏差値35.0)

エヌ・ティ・ティエムイー、佐川急便、富士通エフサス、ジャパンシステム、タカサ、日本データコム、京葉情報システム、東海旅客鉄道、ワールドストアパートナーズ、カインズ

2021年就職先(同年偏差値42.5~47.5)

ノックスデータ、コムシステクノ、大崎コンピュータエンヂニアリング、日本通信サービス、サンソウシステムズ、クロスキャット、JFEコムサービス

2012年就職先(2010年偏差値35.0)

ソフトウェア・サービス、ブレインアソシエイツ、大津コンピュータ、イー・アンド・エム、アルファテクノロジー、ゴールドフラッグ、エービーシーマート、サクセス、御所坊グループ、宍栗市役所

2021年就職先(同年偏差値42.5~47.5)

協栄産業、ゲオホールディングス、富士ソフト、エディオン、関電工、阪急オアシス、プロシード、サービス&セキュリティ、シスコ、フジキン

2012年就職先(2010年偏差値35.0)

※学部別では不明

2021年就職先(同年偏差値45.0~47.5)

ソフトウェア・サービス、日本電通、ミライト・テクノロジーズ、三菱電機システムサービス、関西電力、NTTフィールドテクノ

※出典は『蛍雪時代特別編集 大学の真の実力情報公開BOOK』2013年度版・2022年度版/偏差値は『蛍雪時代臨時増刊 全校大学内容案内号』記載の河合塾偏差値

旺文社が刊行の『大学の真の実力 情報公開BOOK』は2011年から毎年刊行されています。学部別就職先一覧の記載は2013年度版から現在のものとなっているため、比較のために利用しました。

各企業の個別具体名は挙げませんが、2012年に比べて2021年の就職先一覧は大手企業が目立つようになっています。

◆情報系学部は文系?理系?

情報・データサイエンス系学部は文系か、理系か。

この質問にうまく答えられる教育関係者は多くありません。実のところ、本稿筆者の私も同様です。

大まかに言えば、文系寄りだと統計学、経営情報学やメディア学。理系寄りだと数学・数理科学、経営工学、情報工学・システム工学、電子工学など。

これらのいずれか、あるいは複数が合わさっているのが情報・データサイエンス系学部です。

そのため、文系寄りか、理系寄りか、あるいは文理両方か、これは大学・学部によって大きく異なります。

目安となるのが大学の学位、それから入試形態です。

例えば、近畿大学情報学部(2022年開学)は学位が「工学」であり、理系寄りであることを示しています。そのため、入試でも英語・数学・理科の3教科が基本となっています。

一方、東洋大学情報連携学部の学位は「情報連携学」。これだけではわかりませんが、入試形態を見ていくと文系型、理系型の両方があります。

このように、学位と入試形態を見ていくと、文系寄りか、理系寄りか、ハイブリッドか、分かるでしょう。

ただし、文系寄りと言っても、学部の性格上、数学を使わない、ということはあり得ません。数学が苦手とする受験生は受験だけでなく、入学後も数学を頑張って勉強する必要があります。

なお、本稿では、情報工学の学科などは省略しました。これを入れだすと、ただでさえ多い文字量がさらに溢れてしまうからです。

理系選択の受験生で情報・データサイエンス系学部を志望校候補とする場合は情報工学や電子工学・システム工学のある学部・学科も候補とするといいでしょう。

文教大学情報学部:1980年開設。当初から現在まで埼玉・越谷キャンパスではなく、神奈川・湘南キャンパス(茅ヶ崎市)で学ぶ。立地の悪さなどが災いし低迷も現在は堅調。情報システム、情報社会、メディア表現の3学科。

千葉工業大学情報科学部:2001年開設。情報工学科と情報ネットワーク学科の2学科。同大は他に工学部情報通信システム工学科、創造工学部デザイン科学科、社会システム科学部金融・経営リスク科学科なども、広い意味での情報系学科。

東京情報大学総合情報学部:1988年開学。当初は経営情報学部で2001年に現学部名である総合情報学部に改称。東京農業大学と同じ学校法人が運営。2000年代は低迷したが2010年代に入り、志願者数・偏差値とも上昇。

工学院大学情報学部:2006年開設。情報通信工、コンピュータ科学、情報デザイン、システム数理の4学科。キャンパスは1・2年次が八王子キャンパスでやや不便。3・4年次は新宿キャンパスで新宿駅から徒歩5分圏内という都心のど真ん中で学ぶ。

専修大学ネットワーク情報学部:2001年開設。1年次は情報学の基礎を全員で学び、2年次から2コース6プラグラムのいずれかを選択。このうち、Sコースデータサイエンスプログラムは事実上のデータサイエンス学科。

中央大学理工学部ビジネスデータサイエンス学科:2021年開設。前身は経営システム工学科。MARCHクラス以上でデータサイエンス学科を設置しているのは、2022年現在、中央大学のみ(コース・系を含めると、東京理科大学工学部情報工学科データサイエンス系も該当)。

東海大学情報理工学部:2001年開設。情報科学、コンピュータ応用理工、情報メディアの3学科。湘南キャンパスで4年間、学ぶ。情報関連の科学・技術を学ぶ。情報メディア学科はゲームなどメディアコミュニケーション分野が中心で2022年開設。

東海大学情報通信学部:2008年開設。2021年までは情報メディア、組込みソフトウェア工、経営システム工、通信ネットワーク工の4学科で2022年に情報通信学科に改組。旧・組込みソフトウェア工学科は電気製品・自動車などに使われる組込みソフトウェアを専門に学ぶ珍しい学科だった。キャンパスは1・2年が湘南キャンパス、3・4年次は東京キャンパス高輪校舎で最寄り駅・高輪ゲートウェイ駅から徒歩12分。

東京都市大学情報工学部:2007年開設。当初は知識工学部というちょっと分かりにくい学部名だったが2020年に改称。情報科学、知能情報工の2学科。世田谷キャンパスで4年間学ぶ。知能情報工学科はデータ分析のプロ養成も主眼の一つ。

東京都市大学メディア情報学部:2013年開設。前身は1997年開設の環境情報学部で2013年に分離した。社会メディア、情報システムの2学科。分離した環境学部と同様、横浜キャンパスで学ぶ。最寄り駅は横浜駅ではなく市営地下鉄中川駅。

東京電機大学未来科学部:2007年開設。建築、情報メディア、ロボット・メカトロニクスの3学科。情報系そのものの学科は情報メディア学科でロボット・メカニクス学科は機械工学・電気電子工学・情報工学、制御工学の融合。建築学科は名称通り、建築学という不思議な構成。東京千住キャンパス(北千住駅から徒歩1分)で立地が良い。

東洋大学総合情報学部:2009年開設。キャンパスは工学部と同じ埼玉・川越キャンパス。どちらかと言えばやや文系寄り。立地の悪さから一時低迷も2010年代から堅調に推移。

東洋大学情報連携学部:2017年開設。都内の赤羽台キャンパス(赤羽駅から徒歩8分)で学ぶ。当初は情報連携学部のみだったが、現在はライフデザイン学部が同居。学部長がコンピュータ科学者として有名な坂村健。広い意味でデータサイエンス系学科と言える。

法政大学情報科学部:2000年開設。コンピュータ科学、ディジタルメディアの2学科。キャンパスは理工学部・生命科学部と同じ小金井キャンパス。法政大は他に理工学部応用情報工学科なども情報系。

明治大学総合数理学部:2013年開設。現象数理、先端メディアサイエンス、ネットワークデザインの3学科。数理科学を中心とした情報系学部で当初はキワモノ扱いだったが、現在はIT業界中心に下に置かない存在に。キャンパスは国際日本学部と同じ中野キャンパス。

明星大学情報学部:1992年開設。6つの履修モデル(クラウドエンジニア、ソフトウェア開発、マルチメディアと知覚デザイン、組込みシステム、数理科学とデータの活用、情報の活用と教育)から選択。

武蔵野大学データサイエンス学部:2019年開設。データサイエンス学部は滋賀・横浜市立に続く開設ということもあり注目され続けている。東京ビッグサイトの近くにある有明キャンパスで4年間学ぶ。

立正大学データサイエンス学部:2021年開設。キャンパスは埼玉・熊谷キャンパスで立地の悪さもあってか、事前予想を覆す、低倍率となった。仮に大崎キャンパスだったら武蔵野大の後に続いていたはず。立地の悪ささえ飲み込むことができれば、相当コスパがいい。

神奈川工科大学情報学部:2003年設立。情報工、情報ネットワーク・コミュニケーション、情報メディアの3学科。情報メディア学科はアートとITを融合した教育を展開。

金沢工業大学情報フロンティア学部:2012年開設。前身は2004年開設の情報学部。メディア情報、経営情報、心理科学の3学科。情報系学部・学科は他に工学部情報工学科もある。問題の思考・解決策の創出・プロトタイプの具体化・検証までを行うプロジェクトデザイン教育を全学で展開、教育関係者から高い評価を受ける。

愛知工業大学情報科学部:2009年設立。コンピュータシステム、メディア情報の2専攻。情報系は他に経営学部経営学科経営情報システム専攻もある。

大同大学情報学部:2002年開設。情報システム、情報デザイン、総合情報の3学科。総合情報学科は経営情報コースとスポーツ情報コースを設置。スポーツ情報コースはスポーツとITの融合、というのが珍しい。

南山大学理工学部データサイエンス学科:2021年開設。中京圏のトップ私大がデータサイエンス学科を設置したことで地元では話題に。

京都産業大学情報理工学部:2018年の設立で前身はコンピュータ理工学部(2008年)。情報システム、脳科学など10コースから選択するが、複数コースを選択し幅広く学ぶのも良し、1コースのみで専門性を深めるも良し。という解説を「コスパのいい大学2020」に出したところ、関係者から「教員1人に対して学生6人という少人数教育」は珍しいはず、というツッコミを受け、慌てて加筆した。

同志社大学文化情報学部:2005年開設。人間の営み全てを「文化」と捉え、データを収集し分析、解明する、という文理融合型の学部。広い意味でデータサイエンス系学部であり、実際にデータサイエンス科目群という履修科目選択グループも存在。

大阪学院大学情報学部:2000年設立。1年次は基幹クラスタで広く学び、2年次前期から5つの展開クラスタから主専攻・副専攻を選択。大学は文理融合型を標榜し、展開クラスタも文系寄り・理系寄りが混在。

大阪経済大学情報社会学部:2012年設立。現代社会、情報コミュニケーション、経営・経済の3コース制。どちらかと言えば文系寄り。

大阪電気通信大学情報通信工学部:2005年開設。情報工、通信工の2学科。工学部と同じ寝屋川キャンパスで学ぶ。通信工学科はブロードバンド、インターネット、マルチメディアの3分野について、ハードウェア・ソフトウェア両面からの教育を展開。

大阪電気通信大学総合情報学部:1995年開設、2000年に現在の学部名に改称。医療健康科学部と同じ四条畷キャンパスで学ぶ。デジタルゲーム、ゲーム&メディア、情報の3学科。情報学科はコンピュータサイエンス、デジタルメディアの2コース制。

関西大学総合情報学部:1994年開設。総合情報学部のみの高槻キャンパス(高槻駅からバスで約20分)で学ぶ。カリキュラムはメディア情報系、社会情報システム系、コンピューティング系の3系から構成。

近畿大学情報学部:2022年新設。既設の理工学部情報工学科から独立。2021年は意外な低倍率だったが、2022年は難化予想も。知能システム、サイバーセキュリティ、実世界コンピューティングの3コース制。プレステ生みの親・久夛良木健が学部長という点でも注目を集める。

獨協大学外国語学部:ドイツ語、英語、フランス語、交流文化の4学科。フライトアテンダントなど航空業界への就職は関西外国語大学と並ぶ強さだった。その航空業界の不振がもろに影響。交流文化学科は母語と英語に加えてもう1言語の習得を目指す。

千葉商科大学国際教養学部:2015年開設。国際教養系学部ブームの中での開設だったが、コロナショック前は大学の伸長もあって志願倍率は上がっていた。

青山学院大学国際政治経済学部:国際政治、国際経済、国際コミュニケーションの3学科。青山キャンパスで4年間学ぶ。2021年はコロナショックに加えて、総合問題(記述式)の出題もあって、科目負担増を嫌う受験生に敬遠された。

亜細亜大学国際関係学部:1990年開設。国際関係、多文化コミュニケーションの2学科。国際関係学科は5カ月間のアメリカ留学が必須だった(現在はコロナ禍で中止)。

駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部:2006年開設。グローバル・メディアの1学科制。学部名称としては日本最長。教育関連本や学内関係者の間では「グローバル」「GMS」などと省略される。

清泉女子大学文学部:地球市民学科は実質的な国際系学科。スペイン語スペイン文化学科はスペイン語修得に定評があり、コロナ禍以前だとメーカー・商社への就職者が増加していた。五反田駅から徒歩10分という好立地から本来ならもっと人気化していてもおかしくはない。

玉川大学観光学部:2013年開設。2022年から、グローバルエリートとリージョナルリーダーの2コース制に。観光だけでなく、高い英語力の習得を目指す。

中央大学国際経営学部:2019年開設。経済学部から分離独立した。設置科目の7割以上が外国語(主に英語)で展開。本来は国際系学部というよりは経営系学部。

東海大学観光学部:2010年開設。2022年から、ホスピタリティ・ツーリズムや地域づくりにかかわる領域の関連科目も学べるようにカリキュラムを改革。

東洋大学国際観光学部:2017年開設。前身は国際地域学部で、さらに源流は1963年の短期大学観光科。国際地域学部の一時期は群馬県・板倉キャンパスだった。現在は白山キャンパスで4年間学ぶ。

文京学院大学外国語学部:2001年開設。東大本郷キャンパスの近隣にある本郷キャンパスで4年間学ぶ。国際ビジネスコミュニケーション、国際教養コミュニケーションの2専攻。さらに国際ビジネス、国際協力、国際文化、英語教育の4コースを設置。

法政大学国際文化学部:1999年開設。情報文化、表象文化、言語文化、国際社会の4コース制で特色あるカリキュラムが用意されている。同大では国際系学部として他にグローバル教養学部もあり、国際文化学部よりも少人数。

武蔵野大学グローバル学部:2016年開設。グローバルコミュニケーション、日本語コミュニケーション、グローバルビジネスの3学科。東京ビッグサイトのすぐそばにある有明キャンパスで4年間学ぶ。

明治学院大学国際学部:1986年開設。国際、国際キャリアの2学科。国際学科は2年次以降、平和研究、環境問題、多文化社会、比較文化、国際・比較経済、比較法政の6専攻のいずれかに重点を置く教育。4年間、横浜キャンパス(戸塚駅からバスで12分)で学ぶ。

立教大学異文化コミュニケーション学部:2008年開設。語学教育が特色の一つ。英語以外にドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、朝鮮語のいずれかが必修言語で1年次から少人数教育を展開。

早稲田大学国際教養学部:2004年開設。欧米のリベラルアーツ教育をモデルに7つの科目群(クラスター)を用意。教育の共通語は英語、学生の約3割は留学生。2021年に入試制度が変更となり、科目負担増の敬遠から人気を落とした。

南山大学国際教養学部:2017年開設。女子学生の多い大学で特に国際教養学部は男子学生割合が8学部中最低(男子18%)。グローバル・スタディーズ、サステナビリティ・スタディーズの2本を柱に教育を展開。

京都外国語大学外国語学部:1959年開設。英米語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ブラジルポルトガル語、中国語、日本語、イタリア語、ロシア語の9学科。日本語学科は日本語教師などを養成。

京都産業大学国際関係学部:2019年開設。前身は2008年開設の外国語学部国際関係学科。2年次に国際関係・政治、国際関係・経済、国際関係・共生の3コースのいずれかを選択。英語をツールとして使いこなす教育を展開。

龍谷大学国際学部:1996年開設、2015年に改組で現在の学部名となった。国際文化、グローバルスタディーズの2学科。国際文化学科は教員の約4割が海外出身、11か国語の語学教育を展開。グローバルスタディーズ学科はTOEICの卒業要件が730点、目標は830点以上でスローガンは「日本で一番勉強する学科」。

追手門学院大学国際学部:2007年に国際教養学部として開設。2022年に国際学部に。グローバルスタディーズ、国際文化の2専攻。総持寺駅から徒歩10分・イオンタウンがすぐそばの茨木総持寺キャンパスで4年間学ぶ。

関西外国語大学外国語学部:1966年開設。英米語、スペイン語の2学科。2000年代から航空業界への就職が強くなり、東の獨協大学と客室乗務員就職者数でトップを争うようになった。他のグローバル系企業・業界からも高い評価を集めている。

近畿大学国際学部:2016年開設。グローバル、東アジアの2専攻。グローバル専攻は3年次からグローバル、コミュニケーション、アジアンのスタディーズを選択。

桃山学院大学国際教養学部:1989年、文学部国際文化学科として開設。2008年に改組して現在の学部名に。英語は習熟度別クラスを導入、TOEICは全員640点以上を目指し、850点を目標とするクラスも。英語コミュニケーション、国際文化の2コース制で2年次に選択。

神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部:2015年開設。ポートアイランドキャンパスで4年間学ぶ。英語、中国語の2コース(他に留学生用の日本語コース)あり、1年次から各コースに分かれる。3コース合同の科目も設置。

立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部:2000年開設。環境・開発、観光学、国際関係、文化・社会・メディアの4学修分野があり、重要テーマを系統的に学ぶ。ライフネット生命創業者の出口治明氏が2018年、学長に就任して話題に。

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