「そもそもCPUってなんなの?」観る将棋ファンのためのコンピュータ講座(1)(松本博文) - 個人 - Yahoo!ニュース

松本 開発者の保木邦仁さんは当時カナダ在住だったので、代理操作の方が会場に来られました。多くの参加チームが大きなコンピュータを持ち込む中で、Bonanzaチームはノートパソコン1台だったのが目を惹きました。このときのCPUが「CoreDuo T2600」で「2.16GHz」と書かれています。戦闘力2160か・・・。

杉村 それが2人ですね。

松本 なるほど。当時、山下さんはすでにコンピュータ将棋の権威でしたが、私がBonanzaのことばかりいうので「Bonanzaが勝てばいいと思ってるんでしょう?」と笑われました。まあそうなれば面白い、と思ってたことは事実なんですけどね(笑)。私だけでなく、他の多くの人もそう思ってたはずです。いまの藤井聡太さんがプロ棋界に現れたときのような感じに似てますかね。で、結局Bonanzaが優勝した。そのときに大盤解説を担当していただいたのが当時の渡辺竜王でした。

渡辺 そうでした、そうでした。もう、Bonanzaは広まってましたよね。

松本 そうです。将棋会館の控え室で、よく皆さんとBonanzaで対戦してもらいました。で、コンピュータ将棋選手権の山下さんのコンピュータ、これがとても大きかったんです。CPUは「Opteron852」で「2.6GHz×4」とあります。むきだしになってて、普通の大きな扇風機で冷やしてた。これが当時、個人レベルで入手できる最高クラスだったと聞いた記憶があります。

杉村 確かに、クアッドコアは当時珍しそうです。

松本 戦闘力2600が4人ですか。

杉村 そうなりますね。

将棋関係者は高性能CPUを使う

松本 コンピュータ将棋の発展はハード、ソフトの両面あります。ハードに関していえばコンピュータ将棋の強さは、このCPUの性能に大きく依存してきたということなんですね。

杉村 現在の将棋ソフトにおいては、読みのスピードが2倍あると、レーティングが150~200ほど上がるとされています。

松本 レーティングは強さを示す相対的な指標ですね。

杉村 勝率でいうと7割~7割5分くらい勝つようになります。

松本 渡辺名人のパソコンを比べると、古い方は設定をいじってない状態でNPS(1秒間に何局面読むか)が300万ぐらい。今回購入された新しい方が6000万でした。

杉村 20倍の差がありますね。

松本 ということはレーティングにすると・・・?

杉村 コア数が違うので単純比較はできないのですが、500以上の差がありそうですね。

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松本 はあ・・・

杉村 同じ水匠を動かして500違うと、95%勝つようになります。

松本 恐ろしい。最新のスレッドリッパーのお値段は50万円。ほとんどの人にとってはびっくりという価格なんですけど、長くコンピュータやってきた人にはお得感があるんですか?

杉村 そうですね。サーバー用のCPUであるIntel Xeonの時代からしたら、とても安くてお買い得といえるかもしれません。

渡辺 これってどういう人が買うんですか? よくゲーミングPCって言いますけど。

松本 熱心なゲーマーか、開発者か・・・。

杉村 映像を扱う人もよく使いますね。エンコードの時間を短くできるので。ただ、最近はパソコンショップに行って、Threadripper 3990Xが欲しいというと「将棋に使うんですか?」と問われるほど有名になっているらしいですよ(笑)。最近のCPUを紹介するニュースサイトのベンチマークには「やねうら王」が使われていますし。

渡辺 棋士が買いまくってるんだ。

杉村 買いまくってるんでしょうねー。

松本 将棋関係者、お得意様・・・。

渡辺 連盟割引して欲しい(笑)

杉村 開発者もよく買っています。知ってるだけでも5人くらい。

松本 CPUのメーカーって、ずっと「インテル入ってる」のインテルが有名でしたよね。それが最近、AMDの名をよく聞くようになった。なにか劇的な技術革新があったんですか?

杉村 みたいですね。めっちゃ天才技術者がAMDに入ったと。

松本 へええ。将棋界みたいだ。天才が現れると技術革新が起こる。続けてGPUについてうかがいたいと思います。

渡辺 それは次回にしましょう(笑)

松本 はい、そうですね(笑)。次回は「CPUとGPUはどう違うの?」という話をうかがいたいと思います。ありがとうございました。

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