ESG経営とデジタル・フィランソロピーの将来~デル・テクノロジーズ×NTTデータ~ | DATA INSIGHT | NTTデータ
――両社の共通項として「デジタル・フィランソロピー」(デジタルを活用し、社会価値と企業価値の創出を目指す社会貢献活動)があります。まずは、NTTデータがインドで実施している結核を対象とした「AI画像診断アクセス向上プロジェクト」の詳細、及びNTTデータとして活かしていきたいソリューションや技術的強みについて教えてください。
デジタル・フィランソロピー
技術革新統括本部 技術開発本部長雨宮 俊一
技術革新統括本部 技術開発本部長 雨宮 俊一(以下、雨宮)インドでの取り組みは、当社だけでなくマイクロソフトや当社が出資している現地のスタートアップ企業・DeepTekと連携したプロジェクトです。インド南東部のチェンナイで、医療画像AI技術を使い、10万人分の結核患者のスクリーニングを実施しています。結核は日本では深刻な状態ではありませんが、インドではまだ死因のトップ10に入っており、年間約40万人が亡くなっている感染症です。同国での課題は、胸部X線写真を見て結核の診断を行う放射線科医が足りないこと。結核患者のスクリーニングをしようにも医療リソースが追いついていません。そこで当社のアイデアとしては、医療アクセスが悪い地域にX線検診車を派遣し、AIで結核の疑いがあるかどうか患者をスクリーニングすることで、より多くの人に医療のアクセシビリティを提供することが目的です。技術的には、AIで結核を発見する精度が高いことに加え、診断の所見もAI技術で自動的に書くため、放射線科医が逼迫している状況をサポートできることが強みとなっています。実際問題としてはAIの画像診断だけに頼らず、疑わしい人を抽出して検査を行うワークフローを地元政府と連携して作り上げていく点が特徴です。
――次にデル・テクノロジーズのインドにおける取り組み「Digital LifeCare」について教えてください。
松本「Digital LifeCare」はもともと2013年後半に当社技術部門の女性社員とその仲間から始まったプロジェクトです。インドには医師のいない農村地区が数多くありますが、予防医学の情報が使えれば、糖尿病や高血圧、がんといった非感染性疾患(NCD)に関して病院に行く・行かないの判断ができるのではないかということで、まずは6人でアプリを開発しました。その後このアプリを使いたいというNPOが増えていき、2017年までに複数の州で導入されるなど取り組みが広がったため、プロジェクトとしても大きくなった経緯があります。いまはインドのTata Trustsとインド政府が国全体に広げるプロジェクトとして動いており、このプロジェクトに当社の約40人のチームが参加しています。当社の役割は、アプリを使うベースとなるデータセンターの運営です。
デル・テクノロジーズ株式会社 NTT営業統括本部 グローバルアライアンスディレクター岡本 謙 氏
デル・テクノロジーズ 岡本 謙 氏(以下、岡本)いま、NTTデータとDeepTek、そしてDell Indiaのヘルスケアチームとデジタルライフケア分野で協業ができないか、議論を開始したところです。9月17日にキックオフミーティングを行い、NTTデータ/DeepTekと当社が持っている強みを活かし、NTTデータの医療画像AI技術の取り組みと当社のインドにおける「Digital LifeCare」のプログラムでGTM(Go-to-Market)、CSR双方の観点で連携できないか、協議を進めています。