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    「量子サイバーセキュリティ」「デスクトップ型」量子コンピューティング、4大注目技術

    世界的に量子コンピューティングへの関心は明らかに高まってきています。日本政府も2020年1月に「量子技術イノベーション戦略」を発表し、ゲート型量子コンピューティング、固体量子センサー、量子通信、量子暗号技術など、量子技術に関する技術ロードマップの例を挙げました。米国の市場調査会社Inside Quantum Technology(IQT)社が発行した市場調査レポート「Quantum Random Number Generators: A Ten-year Market Assessment(量子乱数ジェネレーター:10年間の市場評価)」では、アプリケーションやメーカーの戦略などについても詳細に分析しています。この記事では、IQTが予想する2021年注目の4つの量子技術などを紹介します。

    編集協力:グローバルインフォメーション

    編集協力:グローバルインフォメーション

    世界の主要調査会社300社以上とパートナー契約を結び、日本をはじめとする世界各所で市場調査レポートを提供している。パートナーが発行するレポートは複数産業の約10万点におよび、毎月2000点超の新刊が発行されている。レポートの販売のほか、提携先への委託調査の仲介も実施している。企業URL:https://www.gii.co.jp/

    <目次>
    1. 2021年の量子技術に関する4つの予測
    2. 量子サイバーセキュリティ市場が急成長
    3. デスクトップ型量子コンピューターが話題になる
    4. 中国:量子技術が政治的な側面を持つ
    5. 量子技術企業の信頼性は強固に(耐量子テクノジー)
     世の中ではあまりにも多くのことが起こっているため、2020年は量子技術がどれだけ進化したのかを見逃してしまいがちでした。およそ1年前には量子コンピューターが商業的に軌道に乗るかどうかを疑う記者もいました。 ところが今では、量子コンピューターでどれだけのことができるのか、あるいは、量子コンピューターの実用的なアプリケーションが増えるかどうかの議論ではなく、量子コンピューターの商業化がいつ頃になるのかが議論の中心になっています。 2020年に量子技術で達成されたことを考えると、2021年はさらに特別な年になるとInside Quantum Technology(IQT)は考えています。そこで、2021年のIQTの4つの予測をご紹介します。 まず1つ目です。IQTでは、2021年に量子サイバーセキュリティが急速な進歩を見せると予測しています。新製品が登場する背景には、(1)多くの国で国家安全保障上の脅威としてサイバー攻撃が拡大していること、(2)ビットコインが通常の交換手段や価値貯蔵手段となった世界で、暗号通貨の脆弱性に関する懸念があること、この2点が挙げられます。 2021年5月、Samsung(サムスン)はスイスのID Quantique社およびSK Telecom社と共同で、世界初の量子乱数生成器(QRNG:Quantum Random Number Generator)対応の5Gスマートフォン「Samsung Galaxy Quantum」を発表しました。ID QuantiqueのQRNGチップセットは携帯電話のセキュリティを強化します。 サムスンや、おそらくHuawei(ファーウェイ)などから発売される量子セキュアスマートフォンも、2021年のクリスマスまでにはハッカー集団を寄せつけなくなり、モバイル機器での電子商取引を保護するためのホットな消費者アイテムになると思われます。 一方、量子セーフ・コンピューティングは、量子鍵配送(QKD)、ポスト量子暗号(PQC)、QRNGを組み合わせたもので、スタートアップ企業やサイバーセキュリティ企業のリブランド製品の対象となると考えられます。企業がこれまでは踏み込めなかった領域にまで量子技術を拡大させる傾向が見られると予想されます。 関連記事

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     2つ目として、IQTは1年以上前から、量子コンピューティングの「次の大きな事象」はデスクトップ型のコンピューターであり、それが物理的に大きいものではないことを示唆してきました。 現在の量子コンピューターのサイズはというと、カナダのD-Wave Systems社が2020年10月に発表した「Advantage」量子システムは、データシートでは10フィート×7フィート×10フィート(約304cm×213cm×304cm)という大きさです。 米国に拠点を置き、ピュアプレイ量子コンピューティング企業としては初の株式公開を果たしたIonQ社は、デスクトップ量子コンピューターの実現まであと5年程度と述べています。スウェーデンのチャルマース工科大学は、すでに実験目的ではありますが、小さな量子コンピューターを開発しました。 デスクトップ型の量子コンピューターが実現可能かについては、賛否両論があります。しかし、IQTは2021年末までにはデスクトップ型量子コンピューターの話題がインターネット上で広がると予想しています。 ただし、実際の商用のデスクトップ型量子コンピューターが登場するにはまだ数年かかり、IonQが考えているよりも長いかもしれません。しかし、それは数十年後というわけでもないと考えています。60年前にミニコンピュータが主流になった時と同じように、デスクトップ型量子コンピューターの商用化を契機に、量子コンピューターの市場は拡大する可能性があります。  デスクトップ型の量子コンピューターは、現在の量子コンピューターの主流であるクラウド・アクセス・パラダイムとの競争となり、量子技術のビジネス面に大きな変革をもたらす可能性があります。 とはいえ、すべての量子コンピューター技術が小型化に適しているわけではありません。特定の技術が特定の企業に結びつくことで、デスクトップ型量子コンピューターは今後、個々の市場シェアに大きな影響を与えると考えられ、「小型量子コンピューター」を掲げる企業は、新しいホットな投資対象になるかもしれません。【次ページ】中国:量子技術が政治的な側面を持つ

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