エヌビディア・ドコモ・富士通が見据える「5G RANの将来」 | ビジネスネットワーク.jp
2021年後半にリリースを予定する「Aerial A100」(クリックして拡大)
これにより、RANおよびMEC設備の作り方は大きく変わる。これまでは複数の専用サーバーを組み合わせてRANとMECの機能を構成する必要があったが、「汎用サーバーと1枚のカードで容易に実現可能になる」と同氏。設置スペースも消費電力も、運用の手間も最小限に抑えながら「従来以上の処理性能と拡張性が得られる」とその利点をアピールした。このAerial A100をはじめとするエヌビディア製品を活用して5G RANや5Gコア、セキュリティ機能などを開発する「AI-on-5Gパートナー」も増えてきている。下画像の通りエリクソンや富士通、マベニア等が5G RANおよび5Gコア領域向け、レッドハットやVMware、グーグル、パロアルトネットワークスらが5G仮想化/クラウド化、セキュリティ領域向けのソリューション開発を進めている。
AI-on-5Gを具現化するソリューションを共同開発するパートナー
「NVIDIA+Arm」でRANを高度化野田氏はこのほかにも、5G RANの高度化に向けた様々な取り組みをパートナーとともに進めていることを紹介した。その1つが、2020年9月に買収を発表したArmとの「RAN+MEC Platform」の共同開発だ。エヌビディアとArmは現在、Cloud RANの実現に向けて、NVIDIA GPUとArm CPUを併用するためのPoCを実行中だという。Cloud RANとは、従来の専用ハードウェアに代えて汎用コンピュートプラットフォーム上でクラウドネイティブなRAN機能を運用するものだ。RANを構成するCU(Centralized Unit:集約基地局)/DU(Distributed Unit:分散局)の機能を「エッジデータセンターに配備し、そこにRU(Radio Unit:アンテナ部)を収容して効率的なRANを運用する」(野田氏)のが狙いである。このCloud RANを汎用サーバーで動かすうえでは、いかに高速な演算処理を行うかが課題になる。「レイヤー1/2の処理が多く、汎用サーバーのCPU性能を高めることに加えて、レイヤー1やビームフォーミングの処理を実行するための専用プロセッサを組み込むハイブリッドなアプローチが必要だ」という。
Arm CPUとNVIDIA GPUを併用するプラットフォームのイメージ
エヌビディアではこの課題に対して、Arm CPUを主軸として、レイヤー1処理で生じる膨大な並列処理をGPUにオフロードする仕組みを提供。さらに、同じ汎用ハードウェア上でAIビデオ解析等を行うためのMECアプリケーションも動作させる「RAN+MEC Platform」の実現に向けて、Armをはじめとした5Gエコシステムパートナーと取り組んでいる。