「デジタル化は自社に関係ない」と思う経営者が会社を潰す その理由とは

Finatextホールディングスは、FinTechスタートアップの企業グループ。「金融をサービスとして再発明する」ことをミッションに掲げ、難しくて、ハードルの高いものというイメージが強い「金融」を使いやすくて、分かりやすく、誰でも使いこなせる「利用者中心のサービス」へと生まれ変わらせようとしている。既に様々な金融系アプリを開発・運営するほか、証券や保険といった領域でSaaS型のビジネスプラットフォームやビッグデータ解析サービスなどを提供し、急成長を遂げている。また同社では、新型コロナウイルスへの対応をいち早く展開し、全社的なテレワーク体制に移行したことで知られる。同グループの代表取締役CEOである林 良太氏に、今後の中小企業の働く環境について話を聞いた。

Finatextホールディングスは昨年2月以降、「対象者は原則在宅勤務」「打ち合わせは社内外問わずビデオ会議で実施」「出社を要する業務に当たる者は、交代制でのリモートワークや時差出退勤を活用」など、矢継ぎ早にコロナ対策を実施されました。他社に比べて非常に早い対応が評判になりましたが、その理由を教えてください。

林氏スタートアップとして始めた会社で、クラウドベースの金融サービスなどを提供しているため、もともとテレワークや在宅勤務にはほとんど抵抗がありませんでした。また自分の健康や家族以上に大切なものなどありませんから、新型コロナウイルスに関しては早めの対策を打ち出したわけです。

「デジタル化は自社に関係ない」と思う経営者が会社を潰す その理由とは

実際にコロナ禍前から会社としてはテレワークを結構やっていましたし、私自身も当時、それまでの働き方を大きく変えざるを得ない状況に直面していました。個人的な話で恐縮ですが、Finatextを創業して6年目の2019年、妻が第一子の出産をきっかけに重度の産後うつを発症してしまったのです。当時はまだ、私の仕事はオフィス出社がメインでした。しかし妻に寄り添いサポートするためにも、なるべく長くそばにいてやりたい――そういう想いから、午前中は自宅でテレワーク、昼過ぎから出社して18時には退社という、1日6時間の時短勤務を約9カ月間、私自身が実践していたのです。

「仕事以上に家庭が大事」という考えをトップ自らが実践されていたわけですね。貴社は最初の緊急事態宣言後も、様々な対策を行ってきましたが、現状はどのような体制で業務を進めているのでしょうか。

林氏現在も在宅勤務を原則としています。ただし本人が希望する場合は出社することも可能です。要は「選択制」ですね。独身で若い社員が多いせいか、学校へ行くことの延長みたいに、会社に来ることが何よりも好きな人が多いんです。よくいう「会社に行くのがダルいなあ」っていう人の割合が非常に少ない。ですから最初の緊急事態宣言のときは強制的に出社禁止にしたのですが、“いつ解禁になりますか”という突き上げも多くて、今はどうしても来たい人には「来るなら気をつけてどうぞ」という形になっています。

ビジネス上、会社に来られて話がしたいというお客様もいらっしゃいますし、いくらテレワークの環境が整っても、ネットワーク的な問題でストレスなく業務を進めるのが難しいとか、リアルで膝を詰めて話し合いがしたいとか、いろいろな状況がありますので、そのあたりは個々の判断に任せています。

株式会社Finatextホールディングス代表取締役CEO/Co-Founder林 良太氏東京大学経済学部卒。日本人初の現地新卒でドイツ銀行ロンドン支社に入社。Electronic Trading System部門を経て、Global Equity部門にてロンドン、ヨーロッパ大陸全域にて機関投資家営業に従事。国内ヘッジファンド大手に参画した後、2013年12月に株式会社Finatext(現・株式会社Finatextホールディングス)を創業。

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