経費の領収書のまとめ方|受け取るときの基礎知識や保管時の注意点について解説 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE
事業では、さまざまなシーンで領収書のやりとりがあります。正しく経費を計上するためには、領収書を保管しておかなければなりません。領収書のまとめ方が確立されていれば、経費精算が効率化します。この記事では企業の社長や経理担当者に向け、領収書を受け取るときや保管時の注意点も含め、経費の領収書のまとめ方を解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
1.領収書とは
領収書とは商品の購入やサービスの利用などを行った際、商品やサービスを提供した側が代金を受け取ったことを証明する書類です。支払った側にとっては確定申告する際、必要経費として認めてもらうための証明書になります。
必要経費として認めてもらえるのは、いわゆる領収書として発行された書類だけではありません。必要な項目が記載されていればレシートや請求書、納品書も領収書として扱われます。領収書は税法上、一定期間の保管が義務づけられています。
▼経費と領収書に関する詳しい記事はこちら経費と領収書|経費として認められる内容や領収書に求められる条件などわかりやすく解説
法人の場合は決算書や確定申告書の作成時に必要であるため、経費として支払った分の領収書はすべて保管しておきましょう。領収書をもらえない経費についても、「誰が、いつ、どこへ、どのような目的で行ったのか」が分かるようにしておきます。法人の決算では、普段から領収書や請求書の整理をしておくと、決算時もスムーズに作業が進みます。
しかし経費精算の場合に適切な領収書がないと、経費として扱うことはできなくなります。事前に社内での規定を定めて周知しておくことが重要です。当サイトでは経費精算の基礎知識から経理担当者であれば知っておくべき法律をまとめた資料「経理1年目の教科書<法律/経費精算編>」を無料で配布しております。最近改正された電子帳簿保存法や今後施行されるインボイス制度など、経理書類を扱う上で理解が必須な情報をわかりやすく解説しています。基本的な経理業務に不安のある方は、ぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。
個人事業主が保管しておく必要があるのは、事業のために使った経費の領収書だけです。自身や家族の生活のために出費した分の領収書は経費にはなりません。なお、事業とプライベートの両方で使用する車の燃料代などについては、一部を経費として計上することもできます。この場合の領収書は捨てずに残しておきましょう。
2.領収書を受け取るときの基本知識
後に経費として計上することを考慮しながら領収書を受け取れば、決算時に困りません。経費として扱うための基本知識を押さえておきましょう。
経費として処理するためには日付や金額はもちろん、領収書発行者の名称および住所が間違いなく記載されている必要があります。宛名(氏名や屋号)も正確に書いてもらってください。もし間違っていれば修正してもらう必要があります。
但し書きには「○○代として」など、具体的な内容が記載されているかどうかも確認しましょう。税込み5万円以上の場合は印紙が貼付・消印されていること、クレジットカードで支払いをしたときはカードによる支払いであることが分かる記載もチェックしておきます。
レシートであっても宛名や金額、日付、明細など上記の内容が記載されていれば、経費として処理する際に認められます。商品の購入やサービスに対する支払いをした証明として、必要な項目が印刷されていれば領収書である必要はありません。レシートの場合は領収書とは違って宛名が入りませんが、よほどの高額でない限り問題にならないことが多いです。
出金伝票とは帳票書類のひとつで、企業から現金が出ていった取引を記録するものです。経費として計上できるもののなかには、領収書やレシートをもらえない出費もあります。例えば電車やバスを利用したときの交通費、冠婚葬祭の慶弔費などです。
領収書をもらえない場合や領収書をもらうのを忘れた場合は、領収書と同様に取引の内容を把握できるように必要項目を記載した出金伝票で処理できます。冠婚葬祭などは出金伝票、交通費は出金伝票または交通費精算書を作成します。
3.経費の領収書は一定期間保管が必要
経費として計上した領収書は、一定期間保管しなければなりません。法人と個人事業主で多少違いがあるため、ケースごとに以下の段落で説明します。
法人の場合は、原則として7年間の保管が義務づけられています。領収書は法人税法で帳簿書類として扱われるため、総勘定元帳や仕訳帳、経費帳などほかの帳簿類とともに7年間保管しなければなりません。
7年の起算日は領収書を発行したときからではなく、法人税の申告期限日からです。近年ではパソコンなどを使い、電磁的記録として帳簿類の作成・保存を行うケースが増えていますが、電磁的記録についても同様に7年の保管義務があります。
個人事業主として事業を行っている場合、青色申告と白色申告で保管期間に違いがあります。青色申告を行う事業者では領収書が現金預金取引等関係書類に分類されるため、保管期間は7年間です。ただし、前々年の所得が300万円以下のケースについては、5年間の保管でかまいません。請求書や見積書、納品書や契約書なども5年間です。
白色申告の場合、領収書の保管期間は5年間です。保管期間のカウントは確定申告の期限日からになります。ただし、領収書は5年間ですが、収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)は7年間の保管義務があります。
法人や青色申告に比べて7年保存しなくてもよい書類が多いものの、保管場所に困るなどの事情がないならば、領収書も一緒に7年間保管しておいたほうが安心です。
4.経費の領収書のまとめ方
法人の場合、経費にかかわる領収書やレシートは、税務調査で提出を求められなければ7年間保管しておくだけです。残しておく必要はありますが、整理に時間をかけすぎるのも非効率でしょう。最低限のポイントを押さえつつ、好みのまとめ方で分かりやすくしておくのがおすすめです。
領収書を保管するための専用封筒を用意する方法が手軽で簡単です。領収書やレシートをもらったら、専用の封筒にしまいます。月別や項目別など、複数の封筒に分けておくと仕訳処理もしやすくなります。
ただし、枚数が多くなると乱雑になり、紛失するリスクも出てきます。枚数が多い場合は大きめの封筒を使うようにする、日付ごとにホッチキスで止めるなど、必要なときに把握しやすいよう工夫しましょう。
専用のノートを作り、その都度貼り付けていく方法です。ノートを開くだけでお金の流れが時系列で分かり、後から支出の内容を確認しやすいところがメリットです。封筒のように領収書やレシートを受け取るたびに出し入れすることがないため、紛失するリスクも少ないです。
保管もしやすいですが、貼り付ける作業には手間がかかります。領収書がはがれないように、しっかり貼り付けましょう。
ファイルやホルダー、ファイルボックスのなかには、領収書の保管に適したタイプもあります。使いやすそうなものを選んでファイリングするのもおすすめです。
ただし、毎月多くの領収書を扱う場合は量が膨大になります。封筒にまとめるときと同様に、月別や項目別などに分け、インデックスをつけておくと把握しやすくなります。ほかにも特定の取引先だけをファイルにするなど、使いやすいように工夫するとよいでしょう。
5.請求書のまとめ方
領収書とともに、請求書も保管しておかなければなりません。請求書をまとめておく方法も一緒に確認しておきましょう。
一般的な保存方法のひとつが請求の月別にまとめるやり方です。月別に保存しておけば1カ月間の支出内容や金額、お金の流れを把握しやすいメリットがあります。また、その月に発行された請求書だけをまとめるだけで、分類する手間もかかりません。
一方で特定の取引先の分を確認したいと思ったとき、1カ月分のなかから目的の請求書を探し出さなければなりません。取引先が多くなるほど必要な請求書を探す手間がかかるデメリットがあります。
取引先別にまとめておくメリットは、取引先ごとに発生するお金の流れや支払い状況を把握しやすいことです。逆に1カ月分の請求額全体や、1カ月単位でのお金の流れが把握しにくくなるデメリットがあります。
また、月別にまとめる場合は決まった場所に順次ファイリングしていくだけで済みますが、取引先別にまとめるためには分類しなければなりません。取引先の数が多い場合は、それだけ手間がかかります。メリット・デメリットを考慮したうえで、自社に合った方法を採用することが大切です。
6.保管する際は文字消えに注意する
保管する際、特に気をつけたいのはレシートです。レシートは感熱紙を使っているものが多く、時間が経つと文字が消えてしまいます。まずは余白などに日付と買ったもの、金額をメモしておきましょう。その上で、光が当たらない場所で保管する、印字部分を内側にして折り曲げておくなど、できるだけ文字が消えないようにしましょう。
コピーを取っておいたり、電子化しておいたりする方法もおすすめです。2016年の税制改正でデジカメ、スマートフォンで撮影した画像データでの保存も認められるようになりました。
7.まとめ
支出した分を経費として処理するためには、領収書を適切に管理しなければなりません。まとめ方はさまざまですが、自社に合った方法で保管することが大切です。領収書には宛名や金額、日付など、必要な項目が記載されているかどうかもポイントになります。
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などなど日々の経理業務に関して不安になることがございませんでしょうか。
特に経費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、細かいルールや規定があり、注意が必要です。また直近の電子帳簿保存法やインボイス制度など毎年のように行われる法改正に対して、情報を収集し適切に理解する必要があります。
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