何歳から「高齢者」?

日本は世界に例を見ないほど速い速度で高齢化社会に突入しているといわれています。さて、高齢者とは何歳からのことなのでしょうか。国連では、60歳以上を高齢者として定義し、80歳以上を後期高齢者としています。一方、国際保健機構(WHO)によると、高齢者は65歳以上となっており、80歳以上が後期高齢者とされています。ほかに、最近注目を浴びている学問に、高齢者にまつわる研究を行なう「老年学」というものがありますが、この老年学では65歳以上が高齢者とされ、65歳から74歳を前期高齢、75歳から84歳を中期高齢者、85歳以上を後期高齢者としています。実は、このように高齢者の定義は様々なのです。

では、国民の意識としては、何歳を高齢者と思っているのでしょうか。以下の表は、内閣府から2002年(平成15年)に「加齢・年齢に対する考え方に関する意識調査」として発表されたものです。

この図によると、世代によって多少の差があるものの、およそ70歳以上を高齢者と考えていることがわかります。一方、年齢ではなく、どのような時期になると高齢者になると思うかという面で見てみましょう。

 何歳から「高齢者」?

この調査によると「身体の自由がきかないと感じるようになった時期」としている人が多く見られることもわかります。

では、日本の法律上では、高齢者は何歳からと定義されているのでしょうか。年金受給をはじめとした高齢年齢に関する法制度や政策を見てみると、ここでもそれぞれ定義が異なっているのです。

2005年に行われた第24回日本老年学会で、健康科学大学の折茂学長が長寿社会を活気あるものとするためには、元気な高齢者が社会に貢献できる社会システムを構築する必要があり、「高齢者の定義を75歳以上に変えるべき」と提言したことで高齢者の定義にさまざまな論議が出てきました。何歳からが高齢者なのかというの論争はさまざまな議論がされています。内閣府の調査では、どの世代を見ても生活に多少不安を感じると応えた人が多く、もっとも多い不安として、「年金・介護、医療などの社会保険給付の現象」が上げられています。自分が高齢者になった時どういう生活をしているのか、さまざまな不安はありますが、とにもかくにも高齢者になった時にさまざまな不安を払拭できる備えが必要なことは確かなようです。

参考サイト:内閣府政策統括官HP(高齢社会対策)

(坂田勝美)

※本記事は、2009年10月5日に掲載された記事です。そのため、記事内容は掲載日のものであり、現在と情報内容が異なっている場合がございますので、本記事の閲覧・利用等に際しては、以下の点をご了承ください。

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