大戦略のシステムソフトが送り出した『マスターオブモンスターズ』

ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

パッケージには、マスターの一人であるネクロマンサーがドクロを持って立ち、その背面にドラゴンが描かれるというイラストになっています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、システムソフトから1988年に発売されたファンタジー・ウォーゲーム『マスターオブモンスターズ』の、PC-8801mkIISRシリーズ対応版を取り上げました。

 「大戦略」シリーズで、シミュレーションゲームに強いソフトハウスという印象を決定づけたシステムソフトはその後、さまざまな派生作品を登場させていきます。本流となる「大戦略」シリーズはもちろんのこと、ユニットをファンタジー世界の住人に置き換えた『ファンタジーナイト』や、指揮官が成長するというシミュレーションRPGの先駆けとなった『ロードオブウォーズ』などがそうですが、それら3作品の特徴を集めて1本のタイトルに昇華させたとも言えるソフトが、今回取り上げるファンタジー・ウォーゲーム『マスターオブモンスターズ』でした。

広告では「8ビット機最強の思考アルゴリズムと索敵ルールの採用によって、いっそう緻密な戦略が要求される」と謳っていました。その後に書かれた「君の中にひそむ魔力が、目を醒ます」が、当時中高生だったプレイヤーの中二心をくすぐりました(笑)。

 シミュレーションゲームと言えばCPUパワーを必要とするため、主にPC-98シリーズで先にリリースされることが多かったですが、本作に関しては最初にPC-8801mkIISR版が発売されています。当時の雑誌『ログイン』を見てみると、1988年9月2日に発売された号の広告には“発売中”とありましたので、そのあたりのタイミングで市場に登場したようです。そんな本作のストーリーは、以下のようなものでした。

入門用としては最適な、こぢんまりとした島が舞台のDUEL PLACEをはじめとした、20のマップが用意されています。キャンペーンモードでは、8つのマップを連続で戦っていきます。設定ターン数が厳しいので、緻密な作戦が求められます。

大戦略のシステムソフトが送り出した『マスターオブモンスターズ』

 魔王ガイアは魔法陣の上に立つと、呪文を唱えて4人の魔法使いを呼び出した。次の魔王を決める時期がきたということで、20の地形からなるマスターオブモンスターズ・ワールドを用意。世界には多くの魔力に満ちた塔があり、多数の塔を選るほどに魔力も増えるという。モンスターを魔力で召喚して兵とすれば、彼らは戦いを重ねるごとに成長し、呼び出したものを助けるだろうとガイアは言った。さらに絶対に守らなければならないこととして、魔法使いは城または城郭から出てはならない、そして魔法使いに魔法をかけることは出来ない、そのように書かれた羊皮紙を読み上げる。これらを聞いた4人の魔法使い達は、我こそが次期魔王であるとの誓いを胸に、それぞれの城へと消えていくのだった。

フィールド上のユニットを選択して移動させ、邪魔する敵は排除して侵攻していきます。「大戦略」シリーズでは、街などを占領できるユニットは限られていましたが、本作ではどのユニットでも塔を占領できるのが新鮮でした。

 プレイヤーはウォーロック、ネクロマンサー、ソーサラー、ウィザード、サモナーという5種類のマスターから1つを選び、マップごとにコンピュータを含む最大4人でモンスターを召喚し、戦いを指揮していきます。マスターはLAW系・CHAOS系・NEUTRAL系に分かれていて、どれを選ぶかで召喚できるモンスターが異なります。その数は全部で51種類あるほか、マスターによって呼び出されるエレメンタルが4種類用意されていました。

戦闘シーンでは、1対1の戦いになります。基本的には格闘戦ですが、天使やレイスのように第2の攻撃手段を持つモンスターは、それでもアタック可能です。相手が格闘戦しか手段を持たないユニットの場合は、一方的に蹂躙することも!

 マスターやモンスターにはHPが設定されていて、これが0になると死亡となります。HPはモンスターごとに異なり、戦闘や魔法攻撃などで減少しますが、塔にいる場合には一定量回復する仕組みでした。マスターは、魔力を消費して自分の手下となるモンスターを呼び出すのですが、基本的には強いユニットほど必要魔力量が増加するため、どのような戦略をとるかが問われます。さらに、一部のモンスターは戦いを繰り返して経験値を得ていくことで、より上位のモンスターへとクラスチェンジすることが可能でした。

マスターごとに呼び出せるモンスターは異なっています。「大戦略」シリーズ風に例えるなら、生産タイプが5種類あるということになります。

 プレイヤーは、これらモンスターを操って敵のユニットを攻撃し、塔を占領して魔力を溜めながらライバルのマスターを全員倒すのが目的となります。ただし呼び出せるモンスターの数は、その時点で所有している塔の数+1となるため、上手に進めないと“魔力は余っているのに、塔の数が足りなくて戦力が充実しない”という事態に陥ることも……。

マスターは魔力を消費して1ターンに1回、大魔法を使用したり、エレメンタルを呼び出してモンスターを攻撃させることができます。有効に使えば、戦況を有利に運べるでしょう。

 他にも、見える範囲が限られる索敵モードや、1ターンにつき1度のみ使用可能な大魔法、あらかじめ用意された8つのマップを順番に決められたターン以内で攻略していくキャンペーンモードの採用など、さまざまなモードを取り揃えていました。特にキャンペーンモードでは、モンスターを進化させると次のマップでは進化後の状態で呼び出すことができるなど、通常のマップにはない魅力も備えています。

索敵を有りにすると、左の写真のように見えていたユニットが右側の写真のように見えなくなります。一気に緊張感が高まるので、上級者を自認するシミュレーションゲームプレイヤーなら、ぜひ索敵有りでプレイしてみてください。

 これらの要素が功を奏してヒット作となった『マスターオブモンスターズ』は、他機種にも移植されたほか、新キャンペーン&マップ集も売り出されるなど、新たな路線を拓くこととなったのでした。

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