インターネットの速度が遅くなるのはなぜ?|速度が遅い原因と対処法を解説【インターネット基本のき】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト

ある日突然インターネットが遅いと感じたとき、プロバイダサポートセンターに電話を入れます。「障害発生中です。お待ちください」と言われた場合は仕方のないことですが、「正常に運用しています。お客様側の原因では?」と返事をされると、対処に困るものです。そこで、この記事では、インターネットが急に遅くなる原因と対処法を説明いたします。

目次インターネットの速度が遅くなる原因とは? スマホの速度が遅くなる原因は?速度の目安は?まとめ

インターネットの速度が遅くなる原因とは?

インターネットブラウザでは、遠くのサーバーにアクセスして、手元のパソコンやスマホの画面を書き換えています。

遅いと感じるときは、

1.利用しているNATルータ(アドレス変換装置)へ繋ぐイーサネットケーブルやWi-Fiがおかしい2.プロバイダへ繋ぐNATルータやONU(接続変換装置)がおかしい3.プロバイダから上位への接続がおかしい4.サーバへの経路が細くて、データが順番待ちしている

のいずれかの状況になっています。それぞれ具体的に説明していきましょう。

イーサネットケーブルでNATルータに接続している場合、コネクタのピンが壊れていて、挿入されているようでも接続されていない場合があります。LINKランプは点灯しているでしょうか? 奥まで押し込んでみましょう。

Wi-Fiは10m程度離れて壁などの障害物があると通信出来ない場合があります。接続マークは3つフルか2つは表示されているでしょうか? 最新のWi-Fi6では中継器も使いやすくなっていますので、電波強度が弱い場合には中継器購入を検討してください。ただし、Wi-Fi6中継器は屋外で使用出来ないので注意してください。

旧式NATルータに10台以上のパソコンやスマホが接続しているときにアクセスが遅くなったりします。社員食堂などで、スマホの通信速度が遅くなる事業所はたくさんあると思います。この原因はNATルータ処理能力問題ですので、買い換えしましょう。最新Wi-Fi6は通信規格として多数のパソコンやスマホからのアクセスを捌く能力が大幅に向上しています。

それでも繋がらないときには、DHCPサーバサービスを疑います。インターネットに接続するためには、個別IPアドレスが必要です。プロバイダはIP番号を管理している事業団体です。1契約につき個別IPアドレスを提供してくれますが、それではたくさんの固定IPアドレスが必要になってしまいます。そこで、新たにIPアドレスが必要なネットワークに「接続する時だけ」IPアドレスを提供して、使わないIPアドレスを節約する仕組みがDHCP(ダイナミック ホスト コンフィグ プロトコル)です。

このDHCPサーバーサービスが通信をしてIPアドレスを取得できていないと、インターネットに接続できません。使っているパソコンやスマホのIPアドレスを確認してみましょう。IPアドレスが確認できなければ、一度シャットダウンしてリスタートしてみてください。

次に疑うのがNATルータです。利用しているNATルータのリセットを行います。リセットボタンを押すか、電源プラグを抜いて、10秒ほど待って電源プラグを再度差し込みます。復旧しない場合、ONUをリセットしてから再度NATルータをリセットします。

最近は少なくなりましたが、NATルータの機種によっては内部メモリーリークが原因で半年から1年ごとなど定期的にリセットが必要な製品があります。

どこのサイトにアクセスするにもスピードが遅い場合には、ご自身が契約しているプロバイダのサポートWebにアクセスして、通信経路に不具合が発生していないか確認することをお勧めします。パソコンが遅いなら、スマホや別の手段でプロバイダWebにアクセスします。数十分待っていると不具合が解消されることもあります。

利用者側の問題なのかを確認するには「Yahoo!Japan」への接続を試します。「Yahoo!Japan」は大規模サーバーサイトなので、正常にアクセス出来ればWi-FiやイーサネットケーブルからNATルータ・ONU、サーバまでが正常と確認出来ます。「Yahoo!Japan」からはトップページの膨大な情報を送ってくるので、日頃からアクセスしているとインターネットが遅い場合、速い遅いの判断にも使えます。

Netflixなどのストリーミングビデオ再生サイトで画面や音声が途切れる場合は、Fast.comなどの回線スピード測定サイトで確認しましょう。4Kビデオ再生では22Mbps以上必要とされています。

DNSサーバが落ちている場合もあります。IPアドレスは覚えにくいので、覚えやすい名称に変換するサーバーをDNSサーバと言います。「サライ.jp」における「serai.jp」や、「Yahoo!Japan」の「yahoo.co.jp」がドメイン名です。目的のサーバに辿り着くのにプロバイダのDNSサーバを利用するため、DNSサーバが落ちるとインターネットに接続出来なくなります。DNSサーバは重要なサーバゆえに復旧作業も迅速に行われるでしょうから待ちましょう。裏技として、NATルータのDNS設定を自動から「8.8.8.8」に設定変更するとプロバイダとは違うルートでインターネットに出られる場合もあります。

サーバと通信するために、様々な経路でアクセスしますが、経路(荷物を運ぶ道路幅)が細いと小包化(パケット化)されたデータが順番待ちを行います。サーバー内部でもWebフロント(窓口)とデータベース(倉庫)で順番待ちすると利用者からは、返事が「遅い」ということになります。

チケットを販売するサイトで発売日にパソコンやスマホが「画面が固まる」、「画面が真っ白になる」症状は、細い道路で自動車が渋滞しているのに似ていて、プロバイダから上位の出来事なので、利用者側では待つしか対処の方法がありません。

スマホの速度が遅くなる原因は?

スマホはWi-Fiを使わずに3Gや4GLTE、最近では5G回線に直接接続して、インターネットを利用出来ます。Wi-FiをOFFにして携帯回線基地局より離れると、スマホの速度が遅くなります。地下などに入ると、電波強度が弱くなって通信出来ない場合が多いものです。アンテナの設置数より大幅にスマホが多い会場では、4LTEや5Gのその地域や催し会場における基地局処理能力を超えて遅くなる場合もあります。

速度の目安は?

インターネットを気持ち良く使いたいとしたら、回線スピードが遅いことは許されません。しかしながら、接続するサーバや通る経路で大きくアクセススピードが変わります。

メールだけなら数百kbpsでも使えますが、Webブラウザを使って写真などを含むサイトへアクセスするなら数Mbps以上、4Kビデオをストリーミングで観るなら22Mbps以上必要です。プロバイダとの契約では同じ接続グループで速度制限している場合、夜になると遅くなるなどの場合があり、混んでいるときの最低スピードに我慢出来なくなったら、プロバイダと相談して上位プランに乗り換えてください。

ネット経由で遊ぶゲームも増えてきました。スマホでビデオや音楽を観たり聴いたりしていると、契約容量を超過してアクセススピードを制限されたりします。プロバイダのルータ処理能力が不足すると、大幅な通信速度低下を招くため、通信量(パケットを運ぶ量)を制限するのです。プロバイダや携帯電話会社では、通信利用量・スピードで利用料が違うサービスを提供する理由です。

日頃から、回線スピードを測っておけば、「遅い!」と感じたとき、プロバイダの責任なのかを判断出来るようになります。速くするにはどれぐらいのコスト増加になるかなどは、プロバイダサポートセンターへ相談しましょう。

まとめ

インターネットに慣れてくると、様々なサービスを使うようになり、要求も上がっていきます。日頃使っているスピードが「遅い」と感じたら、プロバイダ契約(携帯電話回線契約)で、利用料金をいくら払えばスピードアップ出来るのかを検討してみてください。

杉田正 インターネットハンドルはsugipoohアマチュア無線、TK-80BS、PC-8001、APPLEII、MacintoshPlusからのアップル信者。大型ストレージ、RAIDやNAS開発からWebサーバー開発、データセンターにおけるセキュリティ規格ISO27001(ISMS)を日本で最初に取得。現在はクラウド用省エネデータセンター研究開発や省エネデータセンター構築コンサルタントを行っている。

構成・編集/京都メディアライン(https://kyotomedialine.com)

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