「還付金あります」ニセ電話相次ぐ 今月すでに7件670万円被害:朝日新聞デジタル

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 佐賀県内各地でニセ電話詐欺の被害が相次いでいる。市役所や町役場の職員などを名乗って「介護保険料の払い戻しや還付金がある」などとうそを言い、ATMがある場所に行かせて携帯電話で操作を指示し、お金を振り込ませる手口。被害は12月だけ(9日時点)で7件、計約670万円にのぼっている。

 佐賀県警捜査2課などによると、被害に遭ったのはいずれも60代の女性で、佐賀市と白石町で各2人、武雄市、多久市、みやき町でそれぞれ1人ずつ。

 手口は共通している。まず自宅の固定電話に「介護保険の還付金があります」「通帳、カードを持ってATMに行って下さい」といった電話がかかってくる。その後は携帯電話にかけてきて電話をつないだまま「私の言うとおりにATMを操作して下さい」などと指示される。被害者はみなその指示通りに現金を振り込んでだまし取られた。

 県警によると、還付金詐欺による被害は昨年は確認されていなかったが、今年は11月末までに4件、計720万円の被害が確認されている。

 県警は、還付金名目の詐欺を含め、これまでに10種類のニセ電話詐欺の手口を確認しており、今年の被害は11月末で21件(前年同期比7件減)で8200万円(同4400万円増)にのぼる。唐津市では9日、ショートメールによる架空請求詐欺が2件判明した。先月20~23日に50代女性が計約209万円、今月4~8日に60代女性が計約210万円をだまし取られた。

 生活安全企画課によると、12月や大型連休前にはニセ電話詐欺が増加する傾向があるという。7日には、県防災・安全・安心情報配信システム「防災ネット あんあん」で、「ニセ電話詐欺 多発警報!!」とメールを配信し、注意喚起をしていた。だが、翌8日にも4件の被害が発生した。

 担当者は「電話でのお金の話は全て詐欺。家族や警察に相談を」と呼びかけている。(大村久)

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 ニセ電話などによるATMでの振り込め詐欺を未然に防ごうと、金融機関も対策に乗り出している。

 佐賀市の佐賀銀行(坂井秀明頭取)は、今年4月から本店の店外ATMコーナーで、AI(人工知能)カメラを利用して振り込め詐欺被害から利用客を守る取り組みをはじめた。

 ATMの上部に設置したAIカメラによる画像解析で、スマートフォンや携帯電話で通話をしながらATMを操作する利用客を検知すると、音声で「携帯電話をかけながらの操作はご遠慮いただきますようお願いします」と注意を促すシステムを導入し、本格運用をはじめている。今後、支店のATMなど順次拡大を検討するという。

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