鉱山の労働者を救った世紀の発明…蒸気機関車の発明者トレビシックをご存じですか？
notebook-laptop"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
親子二代で蒸気機関車を開発
1771年の今日（4月13日）、蒸気機関車を発明したリチャード・トレビシック（Richard Trevithick、1771-1833）が誕生しました。
鉱物資源が豊富なイングランド南西部・コーンウォール地方で生まれたトレビシックは、坑道から地下水をくみ上げる蒸気機関を見て幼少期を過ごしました。彼は鉱山で働くかたわら、妻の実家の影響で鋳物業にも興味を持ち、自ら効率的な蒸気機関を製作したいと考えました。
1799年ごろ、彼は従来のものより効率的な高圧蒸気機関を開発しました。これは小型化したボイラーを備え、高熱の蒸気を液体に戻す「復水器」を取り除いている点が特徴的で、スペースと重さの節約になりました。彼は蒸気機関をもっと小型化すれば乗り物の動力として使用できるのではないかと考え、すぐさま蒸気機関を備えた四輪車の開発に移りました。
試作段階で幾度も失敗を重ねながら、1804年、トレビシックは史上初の蒸気機関車である「ペナダレン号」の開発に成功しました。ペナダレン号は10トンの鉄、5台の客車と70人の乗客を運ぶことに成功し、その平均時速は約4kmでした。スピードはほとんど徒歩と変わらないものの、この発明は労働者がもう何トンもの石炭や鉱石を手作業で運ばずに済むことを意味していました。
ペナダレン号のレプリカ Photo by chris55, CC BY-SA 3.0トレビシックの発明後、息子のR・フランシス・トレビシックやスティーブンソンら技術者の手によって、蒸気機関車は改良が重ねられ、イギリスの産業化を文字通り牽引することとなりました。
リチャードと息子・フランシスが手がけた蒸気機関車のイメージ図
