ソフトバンク、iPhoneとAndroidでSIMの流用が可能に 2022年夏をめどに

 ソフトバンクSIMは独特な仕様で、差し替えただけでは通信しない場合があるのをご存じだろうか? その仕様を廃止すべく、ソフトバンクがAndroidとiPhoneでSIMカードを差し替え利用できるよう準備を進めている。

ソフトバンクSIMカードの種類は複数ある左から、iPhone専用「nano USIM カードA(C2)」「nano USIM カードA(C)」「nano USIMカード」「Pocket WiFi 用 USIMカード」

iPhoneやAndroidの中でも複数のSIMが存在

 ソフトバンクでは端末の種別によって異なるSIMカード(USIMカード)を用意しており、大まかに分けると以下のSIMカードが存在する。

 端末種別が一致すれば、そのまま差し替えて使うことができるが、同じ端末種別でSIMカードのサイズが異なる場合や、端末種別が異なる場合は、差し替えて使うことはできない仕様だ。

 SIMカードの差し替え自体は、普段から頻繁に行う行為ではないが、このような仕様によって、下記のようなことについて困った人はいないだろうか?

ソフトバンク、iPhoneとAndroidでSIMの流用が可能に 2022年夏をめどに

 例えば、iPhone 5sが壊れてしまい、応急処置的にSIMロックフリーの「iPhone SE」をApple Storeや中古販売店などで入手し、新しい端末がソフトバンクから届くまでの間、家族や知人などと連絡を取り合えるようにしたい――。

 結論から言えば、これはできない。なぜならiPhoneですら端末の種別によってSIMカードが異なるからだ。詳細は以下の通り。

 このため、ソフトバンクショップに出向いた上で、SIMカードの交換・再発行手続きを行う必要がある。

 下記のケースも同様に、SIMカードの差し替えだけでは使えない(厳密には差し替えても、音声通話しか使えなかったり、端末がSIMカード情報を正常に読み取れなかったりする)。

 さらに、SIMカードの交換・再発行手続きをすると、再発行手数料3300円(税込み)が発生する(利用料金請求時に合算請求となる)。これもユーザーにとって負担となっていた。

Androidスマートフォンでも9種類ものSIMが存在する機種ごとのUSIMカードの種類についてもサポートのページで確認できる

なぜこんな面倒な仕様なのか 今後はどうなる?

 では、なぜわざわざこうした仕様にしたのか。ソフトバンク広報はこのように説明している。「料金プランと端末のセット販売において提供されるサービスが異なっていたため、差し替えにおける不正利用を防止するため、適切なサービスをお客さまへ提供するためにSIMの種類が分かれておりました」

 このソフトバンクSIMカードの独特な仕様については、2021年2月18日に開いた「オンライン専用ブランドLINEMO」の発表会の質疑応答で、ソフトバンクの寺尾洋幸常務執行役員が「課題として認識している」とした上で、「解決に向けて準備を進めている」と発言していた。

 その後、ITmedia Mobileがソフトバンク広報に問い合わせたところ、「利用者にニーズの高いSIMカードの差替利用を可能にすべく、発行済みのAndroid SIMとiPhone SIMをSIMの再発行なしで、AndroidとiPhoneそれぞれで使えるようにする(差替利用)ことは順次行っている」とのこと。AndroidとiPhoneのSIM差し替え利用の制限は、2022年夏をめどに撤廃するとのこと。

 しかも、SIMの流用化は新規発行のSIMだけでなく、既存のSIMも対象という。

 この準備は2022年1月から徐々に行っているようで、ルーターやタブレットなどの端末をどうするかは未定としている。ともあれ、スマートフォンを回線契約なしで購入して、ソフトバンクのSIMを入れ替えて使っている、あるいは使うことを検討している人にとっては朗報だ。

 なお、SIMの種類をOS問わず統一する予定は未定のこと。

【更新:2022年2月21日18時34分 初出時、SIMの共通化としていましたが、厳密には共通化(統一)されるわけではなく、差し替え利用が可能になるため、一部加筆修正しました。】

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