宮城県、公立高校入試本番 コロナ救済も
2022年度の宮城県内の公立高校の入試が4日、県内各校であった。全日制では1万3880人の募集に対し、1万3724人が受験した。倍率は0・99倍で、前年度を0・04ポイント上回った。合格発表は16日午後3時。新型コロナウイルス感染などで受験できない生徒の救済もある。
午前8時ごろ、仙台二高(仙台市青葉区)では、マスク姿の受験生たちが次々に訪れた。緊張した表情で校舎内に入っていくのを、付き添いの親が見守っていた。
仙台市泉区の男子生徒(15)は、コロナ下で友達と問題の解き方の教え合いが学校ではできなかったと明かした。自習に力を入れて成績が伸び、昨年秋に志望校を仙台二高に変更。「ケアレスミスに気をつけて、普段通りの力を出したい」と意気込んだ。
各教室の前には消毒液が置かれ、受験生らは問題が配られる時間までノートを開いて、最後の復習に力を入れた。
県教委によると、最も競争率が高いのは宮城一・国際探究科・理数探究科(1・75倍)で、泉・普通科(1・64倍)、宮城野・普通科(1・62倍)と続く。
新型コロナの感染などで4日に受験できなかった生徒は、10日の追試験や23日の2次募集の試験を受けられる救済措置がある。濃厚接触者となった受験生は、PCR検査を受けられなくても無症状であれば別室での受験ができる。(武井風花、福岡龍一郎)
国語
例年通り大問五つで、特徴は次の2点。1点目は記号選択・抜き出し問題の易化で、2点目が第5問の200字作文の難化だ。第1問の言語事項は、図表のある問題がなく解きやすい。第2問の小説、第3問の論説では、ともに55字の記述問題が出題されたが、根拠が明確でまとめやすい。第4問は3年ぶりに漢文が出題された。第5問の作文は、指示語を選び、俳句を完成させる問題。句全体の情景や心情を表現するという点で全国的に珍しい。多様なジャンルの文章に触れ、想像力を養うとともに、自らの言葉で心象風景を表現する力を高めたい。(中村直矢)
数学
大問4題、小問25題は例年通り。中1~3の内容がバランスよく出題された。第1問、第2問は小問集合。教科書内容を応用する力が必要だった。第3問は、確率と読解系関数の問題で、例年よりも発想や計算は非常に平易になっていた。第4問は平面図形からの出題。昨年に比べて発想はやや難しいが、計算処理量がかなり減った。全体として例年よりもかなり易化した。(村山圭一)
社会
大問数は5題から6題に増えたが、総設問数に変化はない。全体としての難易度はやや易化。歴史・地理・公民の3分野からバランスよく出題されている。第1問が記号選択だけの3分野融合問題となったことが新しい。知識問題・記号選択問題の内容は基本的である。一方、難易度が高く、得点差のカギを握る記述問題は例年通り5問出題された。資料読み取り型の記述問題では、複数資料から必要な情報を抽出し、それらを多面的に考察したうえで解答する力が求められる。今後も暗記だけでは対応が難しい記述型の出題が続くだろう。(橋本裕之)
英語
難易度は昨年度と比べて全体的に易化した。その要因として、自分の意見を自由に記述させるリスニングの最終問題や対話形式の英作文で、場面が想像しやすいものとなり、記述しやすくなったことが挙げられる。また昨年度、難化の主な要因となった長文読解では、本文や主張を正確に読み取ったうえで、本文にはない英単語や表現を用いて要約や言い換えをする問題が減り、取り組みやすい問題が増えた。教科書改訂で新しく学ぶことになった文法事項からの出題に注目していたが、見当たらなかった。(熊谷敦史)
理科
例年通り大問5題。思考力を問う問題が増え、難易度は昨年より上昇したとみられる。注目点は、まず今年度から教科書に掲載されたダニエル電池が大問1の小問集合内で取り上げられ、物理の問題が小問集合内からなくなったことだ。さらに、昨年出題が減少した中3内容(中和・運動とエネルギー・天体)が第3~5問の全てで取り上げられるという例年にない問題構成だった。授業を確実に理解するなどを基本とし、その知識を入試でどのように活用するかを意識した学習が必要だ。(小松大輝)