【マザーボードの基礎知識:機能とスペック編】何をするためのパーツ? 値段や仕様の違いは自作PCのどこに影響が出る?

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自作PCのベースとなる基板を知る text by マルオマサト

 PCパーツは種類が多く、価格差も大きいため、何を基準に選べばよいのか分からない方も多いだろう。パーツの進化は速いので、経験者であっても、しばらく自 作から遠ざかっていると、製品選びのポイントを見失ってしまうこともしばしば。そこで本シリーズでは、PCパーツの役目や構造といった基礎知識をやさしく解説するとともに、最新パーツの動向や選び方などをガイドする。

 シリーズ第3回の今回は、自作PC内部のパーツの中でもっとも大きなサイズの基板である「マザーボード」を見ていく。大きいだけあって基板上の部品点数が非常に多く、接続するパーツも格段に多いマザーボードは、PCの中核となる重要なパーツの一つ。製品も多彩で価格のレンジは広く、マザーボード選びがPC自作の方向性を決める重要なファクターであり、構成を考える面白さの真髄でもある。CPUやメモリ、インターフェースの代替わりも進む昨今、その基本的な知識も身に着けたりアップデートしたりしておこう。

「マザーボード」って何をするパーツ?

重要パーツがすべて接続されるメイン基板CPU、メモリ、拡張カード、ストレージの制御の軸となる取り付けられるCPUの違い、世代の違いや互換性に要注意

すべてのパーツをつなげるもっとも重要な基板

 マザーボードは、システムの中核となるメイン基板だ。CPU、メモリ、ストレージ、ビデオカード、電源ユニットなど、PCシステムを構成するのに必要なパーツはすべてマザーボードに接続される。

PCの内部を見ると、大きな基板の上にいくつものパーツやケーブルが接続されている。この大きな基板こそがすべての土台となる“マザーボード”だ

【マザーボードの基礎知識:機能とスペック編】何をするためのパーツ? 値段や仕様の違いは自作PCのどこに影響が出る?

 マザーボード上には、こうしたパーツを接続するためのソケット、スロット、コネクタ、ピンヘッダが多数搭載されている。それらがどんな規格に対応し、どのくらい数があるかで、使えるパーツの種類や数が変わる。

マザーボード上のカバーやヒートシンク(放熱板)を取り外したスッピン状態の基板。さまざまなソケット/スロットや端子、細かな部品が並んでいる

 たとえば、使えるCPUはCPUソケットの種類で決まり、DIMMソケットの規格と本数で使えるメモリの種類と速度、最大容量が決まる。同様に、PCI Express 4.0 x4対応M.2 SSDは何台使えるのか、PCI Expressカードは何枚使えるかなど、すべてマザーボードの仕様で変わってくる。

 さらに、マザーボード自体が持つ機能も多機能化しており、有線/無線LAN、オーディオ、USB、ディスプレイ出力、LED発光制御にまでおよぶ。つまり、どんなマザーボードを選ぶかによって、性能、機能、拡張性、接続性など、PCシステムの大枠の部分が決まってくるのだ。それだけにPCを自作する上でマザーボード選びは重要であり、難しいところであり、それだけに非常におもしろいところでもある。自作PCの醍醐味の一つと言ってもいいだろう。

【PCパーツはマザーに取り付ける】マザーボードにはPCのほぼすべてのパーツを接続するため、マザーボード上にはさまざまな形状のインターフェースやスロット、ピン類がところ狭しと並んでいる。パーツにより接続する場所は決められているが、マニュアルや端子同士の形状を確認しながら進めればOKだ。写真は最新のIntel Coreプロセッサーに対応したマザーボード(1)USB機器やディスプレイなどの外部機器、ネットワークはここに接続。無線LANに対応している場合はアンテナもここに取り付ける場合がほとんど(2)CPUやメモリなどはマザーボード経由で電源ユニットから電力が供給される(3)頭脳であるCPUはマザー上のもっとも重要なパーツ。冷却を行なうクーラーもここに取り付ける。CPUクーラーのファンやポンプの電源、アドレサブルRGBの制御端子も基本的にはマザーボードに接続する(4)DDR5用とDDR4用は互換性がないため注意(写真の製品の場合はDDR5)。スロット数は4本が定番で、小型マザーは2本の場合が多い。超ハイエンドには8本使えるものもある(5)ゲーマーに必須のパーツ。PCI Expressスロットに取り付ける(6)マザーにケーブルレスで取り付けるM.2、従来型のSerial ATAがある(7)有線LANはほぼ標準装備になり、最近ではミドルレンジ~ハイエンド製品や小型マザーでは無線LANを標準装備する製品も多い(8)高音質なサウンド再生もマザーの差別化ポイント。ヘッドホンなどはバックパネルに接続こちらはAMD Ryzenに対応したマザーボード。使用可能なCPUとメモリが異なるものの、そのほかのパーツはIntel環境と同じものが使用できる。逆に言うと、一見そっくりなマザーボードでも、使用可能なCPUやメモリが異なる場合がある、ということは十分に注意する必要がある。詳細は次項で解説する

CPUに対応したマザーボードが絶対に必要!

 マザーボードの機能はCPUと密接に関係しており、CPUとマザーボードを切り離して考えることはできない。IntelのCPUとAMDのCPUを同じマザーボードで使うことが不可能なのはもちろん、Intel同士、AMD同士であっても、使用するCPUに、CPUを取り付ける“ソケット”と、CPUとPCの各パーツや機能の橋渡しをする“チップセット”が対応していないと使うことができない。

【IntelかAMDか、第〇世代対応か、には要注意!!】Intel最新の第12世代Coreが使えるのは、LGA1700ソケットとIntel 600シリーズチップセットを搭載したマザーボードのみ。AMDは長くSocket AM4が使われているが、ソケットが同じなら全部使えるかと言えばそうとも言えず、世代によっては対応していなかったり、ウリの機能が使えなかったりする。世代が違う組み合わせで使いたい場合は対応状況や機能の制限などをしっかり確認したい

 Intelは、この2年でLGA1151→LGA1200→LGA1700とCPUソケットが世代交代。最新の第12世代Coreプロセッサーが使えるのはLGA1700ソケットとZ690チップセットを搭載した最新製品のみだ。AMDの主力CPUのソケットはしばらくSocket AM4で変化がないが、X570以降のチップセットが初代Ryzenをサポートしなかったり、最新のRyzenとX470以前のチップセットの組み合わせではPCI Express 4.0など機能の一部が使えない、といった制限も生じる。

 CPUやマザーボードの製品開発の流れでは、CPUに合わせてチップセットが用意され、そのチップセットを搭載したマザーボードが開発される、という段取りで進む。このことから、自作PCの構成を決めるときも、まずCPUを選んで、それに対応したチップセットを確認し、そのチップセットを搭載したマザーボードに絞り込んでいき、最終的には価格や機能で選ぶ、というステップをたどるのがスムーズだ。

チップセットごとの基本仕様・機能の違い

 マザーボード選びの際によく見ておきたいのがチップセットだ。これはマザーボードの中核をなす半導体であり、PCI Expressの世代やレーン数など主要な機能はチップセットでほぼ決まる。マザーボードの製品名もチップセットの名前を一部取り入れている製品がほとんどであるので、チップセットの位置付けや機能をおおまかにでも把握しておくと、製品選びが捗る。たとえば、高速なSSDを複数台搭載したい、高性能な拡張カードを使いたいならば上位グレードのチップセットがベター。コストを抑えたいなら下位グレードのチップセットも選択肢に入る、などなど。

 以下にてIntelおよびAMDの新旧世代の主なチップセットの仕様のうち、とくに差の大きいところをピックアップしてみた。ここで大まかな違いを整理していただきたい。各表ともに、左ほどグレードが高いチップセット(=マザーボードの価格も高い)で、最新世代のほうが総じて高性能になる。なお、CPU直結のPCI Expressスロットが対応する規格は、使用するCPUや各マザーボードの設計によっても異なるので、詳細は各マザーボードのスペックシートなどで確認を。また、表中のUSB 3.1はUSB 3.2 Gen 2(転送速度10Gbps)と同義。

【LGA1700プラットフォーム(最新世代)】
チップセットZ690H670B660
対応CPU第12世代Core
CPUオーバークロック××
CPU直結PCI Express5.0+4.05.0+4.05.0+4.0
チップセット接続PCI Expressレーン数4.0×12+3.0×164.0×12+3.0×124.0×6+3.0×8
チップセット接続USB3.2 Gen 2x2×4ほか3.2 Gen 2x2×2ほか3.2 Gen 2x2×2ほか
Intelの最新CPUの第12世代Coreは、新たにCPUソケットにLGA1700を採用。チップセットは最上位のZ690、ミドルレンジのH670、B660などを組み合わせる。これまでのマザーボードとは互換性がないので注意
【LGA1200プラットフォーム(旧世代)】
チップセットZ590H570B560
対応CPU第11世代+第10世代Core
CPUオーバークロック××
CPU直結PCI Express4.04.04.0
チップセット接続PCI Expressレーン数3.0×243.0×203.0×12
チップセット接続USB3.2 Gen 2x2×3ほか3.2 Gen 2x2×2ほか3.2 Gen 2x2×2ほか
前世代の第10/11世代CoreシリーズはCPUソケットがLGA1200。チップセットは上位モデルから順に、Z590、H570、B560、など。PCI Expressの仕様が1世代前のものにはなるが、世代交代にともないマザーボードの価格が手ごろになってきたので、予算を抑えたいときに利用価値アリ
【AM4プラットフォーム(最新世代)】
チップセットX570B550A520
対応CPURyzen 5000/3000/2000Ryzen 5000/3000
CPUオーバークロック×
CPU直結PCI Express4.04.03.0
チップセット接続PCI Expressレーン数4.0×163.0×103.0×6
チップセット接続USB3.1×8ほか3.1×2ほか3.1×1ほか
【AM4プラットフォーム(旧世代)】
チップセットX470B450
対応CPURyzen 5000/3000/2000/1000
CPUオーバークロック
CPU直結PCI Express3.03.0
チップセット接続PCI Expressレーン数2.0×82.0×6
チップセット接続USB3.1×2ほか3.1×2ほか
AMDの最新CPUはRyzen 5000シリーズ。CPUソケットは前世代から引き続きSocket AM4を使用し、最上位のX570チップセットも息が長い。X570のあとに登場したミドルレンジのB550チップセットを搭載したマザーボードは、最新トレンドの機能を搭載したモデルも多い。A520は低価格路線でエントリー向け。現時点でのタイミングでは世代間の互換性が比較的高く、1世代前のRyzen 3000シリーズのCPUを最新チップセットで使ったり、1世代前のX470・B450チップセットのマザーボードでRyzen 5000シリーズを使うことも可能。ただし、BIOSアップデートの必要や、機能の制限はあるのでその点には注意

 次回公開の後編では、購入するマザーボードを最終的に絞り込むために必要な知識、すなわち、マザーボードのグレードの見極め方や、設計や仕様のトレンドを解説する。さらに、マザーボード(とCPU)に着眼して考えた、用途・予算別の自作PCの構成プランなども紹介していく。

覚えておきたい「マザーボード」関連用語

ATX(Advanced Technologies eXtended)Intelが1995年に提唱したPC用のフォームファクター。従来のATよりもサイズや電源の仕様などが細かく決められている。最大サイズは305×244mm。より小型の規格として、microATXやFlexATXがある。ATX12V(Advanced Technologies eXtended 12V)Intelが2000年にリリースした、+12Vの電源コネクタを追加したATX用の電源規格。CPUの消費電力増大に備え、Pentium 4向けに改訂されたATX電源の仕様で、+3.3Vと+5Vを補助供給する6ピンの補助電源コネクタと、CPUに+12Vを給電する2列4ピンのコネクタが追加されている。後者がATX12Vコネクタと呼ばれ、CPUはここから供給される電力を、VRM(Voltage Regulator Module)やVRD(Voltage Regulator Down)を使って最適な電圧に変換して使用する。CPU(Central Processing Unit)中央演算処理装置。コンピュータにおいて頭脳となる部分。メモリとの間で数値の演算処理を行なう。現在のPC市場ではIntel(Coreシリーズ)とAMD(Ryzenシリーズ)が2強。CPUソケット(CPU Socket)CPUをマザーボードに装着するためのソケット。マザーボード上に取り付けられている四角い部品で、CPUをこの上に装着してレバーでロックして固定する。自作PC向けとしては、ソケット側に多数の穴があいているタイプ(ピンコンタクト)と、ソケット側に多数のピンが並ぶタイプ(ランドコンタクト)がある。前者の場合、対応するCPUの裏面にピンが用意されており、ソケットの穴に挿し込んで装着する。後者では、CPUの裏面に平らなパッドが並び、これがソケット側のピンと接触する。いずれの形式にせよ、ピンの数やレイアウトはCPUによって異なるため、ソケットに装着可能なCPUが物理的に決まり、マザーボード側の仕様によってさらに利用可能なCPUが限定される。DDR4 SDRAM(Double Data Rate 4 Synchronous DRAM)第4世代のDDR SDRAM。DDR3 SDRAMの2倍のデータレートを持つ。動作電圧は1.2Vと低電圧なのも特徴。2021年現在のPCのメインメモリの主流。DDR5 SDRAM(Double Data Rate 5 Synchronous DRAM)第5世代のDDR SDRAM。データレートはDDR4 SDRAMの2倍を実現する一方で動作電圧は1.1Vと低電圧に。従来、マザーボード上に実装されていた電源管理用IC(PMIC)がDIMM上に移され、より効率的な電圧調整を可能としている。DIMM(Dual In-line Memory Module)メモリモジュール(メモリボード)の規格の一つ。一般に用いられている、基板の両面に端子を配置したタイプ。DDR SDRAMでは184ピンタイプ、DDR2/3 SDRAMでは240ピンタイプ、DDR4 SDRAMでは288ピンタイプが用いられる。DDR5 SDRAMもDDR4と同じ288ピンだが、切り欠きの位置が異なり物理的にも互換性はない。DrMOSVRMは基板上に実装された電源回路で、パーツが必要とする電圧を生成するためのもの。多くはスイッチング式で、Power MOSFETと呼ばれるチップがスイッチの役割をする。このPower MOSFETを駆動するのがドライバIC、ドライバICと2種類のPower MOSFETを1チップにまとめたものがDrMOSで、Intelがサイズなどを規格化している。基板上の実装面積を節約できるが高コストで、ハイエンドクラスのマザーボードを中心に採用されている。EPS12V(Entry Power Supply 12V)Intel、Dell、HP、SGI、IBMなどで構成されるSSI(Server System Infrastructure)Initiativeが2002年に策定した、エントリーレベルのサーバー向け電源仕様。マザーボードに給電するメインのコネクタは、ATX12V 2.xと同じピン配列の24ピン仕様だが、CPU用のコネクタは8ピン仕様になっており、+12Vは2系統に拡張されている。さらに容量の必要なマザーボード向けには、ATX12Vコネクタと同じ4ピンのコネクタも用意されている。K付きCore i9-12900KやCore i7-12700Kなど、プロセッサー・ナンバーに「K」の文字が付けられたIntel製CPUのこと。K付きモデルではベースクロックに対する内部倍率を自由に変更することができ、メーカーが設定した定格クロックを超えてCPUを動作させる、オーバークロックと呼ばれる設定が可能。ただし、クロックを上げた状態で動作することが保証されるものではなく、さらにオーバークロックに起因するPCの故障は、メーカーの保証対象外となる点には注意が必要である。LEDテープ(LED Tape)リボン状の元素材の上にLEDを並べて配置した発光パーツ。アドレサブルRGBにより任意の場所を光らせられるようにしたものもある。LGA(Land Grid Array)半導体パッケージの一つで、パッケージの片面に平板なパッド(ランド)を並べたタイプ。MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)シリコンの酸化膜に金属の電極を付けた構造の半導体をMOSと言い、MOSFETはこのMOS構造を持ったトランジスタ。今日の集積回路で広く用いられている。MTP(Maximum Turbo Power)Alder Lakeこと第12世代Coreシリーズから採用されたIntel CPUの消費電力の目安。Turbo Boost機能利用時に消費する電力の上限値を示すもので、従来のPL2(Power Limit 2)に相当する。第12世代Coreシリーズを採用したシステムでは、このMTPとして規定された電力をできるだけ長時間維持できるような冷却機構や電源回路を備えることが求められる。混乱を避けるため、従来TDPと呼ばれていたベースクロックで駆動する際の消費電力の目安もPBP(Processor Base Power)と改名されている。OC(Over Clock)オーバークロック。CPUやGPU、メモリなどを定格を超える高いクロックで動作させること。CPUだけでなく、チップセットのグレードやマザーボードの品質によってもOCの可否や限界は左右される。PCB(Printed Circuit Board)写真や印刷と同様の技術を用いて配線パターンを作成した電気機器の配線基板。市販の配線基板のほとんどがこのタイプ。PCI Express(Peripheral Component Interconnect Express)PCI SIGで規定された、高速シリアルバス規格、および拡張スロットの仕様。基本となる単位「レーン」を並列して搭載することで高速化が図れるのが特徴で、レーン数は「x1」や「x16」のように表現される。信号速度は当初2.5GT/sだったが、PCI Express 2.0で5GT/s、PCI Express 3.0で8GT/s、PCI Express 4.0で16GT/s、PCI Express 5.0で32GT/sと高速化されている。Thunderbolt(サンダーボルト)AppleとIntelが共同開発した汎用インターフェース規格。当初は1チャンネルあたり10Gbpsの転送速度だったが、後継のThunderbolt 2は最大転送速度20Gbps(コネクタ形状はMini DisplayPortと同形状)、続くThunderbolt 3では最大転送速度40Gbpsに対応する(コネクタ形状はUSB Type-Cと同形状)。UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)BIOS(Basic Input/Output System)に代わるマザーボードの基本プログラム。OSとハードウェア(のファームウェア)の橋渡しをするソフトウェア。16bitのリアルモード(1MBのメモリ空間)、アセンブラでのプログラミングといったIBM PC(IBM 5150)から引きずる制限を抱えるBIOSに対し、UEFIではプロセッサのメモリ空間に直接アクセスできる上、C言語ベースで記述できる開発環境やモジュール型の実装システムを確立しているため、プログラミングが容易で自由度も高くなっている。2.2TBを超えるドライブからの起動が可能になっているほか、幅広いデバイスサポート、セットアップ画面のGUI化やOSロード前のネットワークアクセスなどの機能拡張を可能にしている。USB(Universal Serial Bus)Compaq(HPに買収)、Intel、Microsoft、NECなどが共同で開発し、その後はUSB IF(Implementers Forum)が管理している、汎用のシリアルインターフェース規格。現在広く普及している最新規格は「USB 3.2」で、USB 3.1 Gen1x1(転送速度5Gbps)、Gen1x2(同10Gbps)、Gen2x1(同10Gbps)、Gen2x2(同20Gbps)の四つのモードが存在し、機器によりサポートするモードは異なる。Gen1x1はUSB 3.1 Gen1(およびUSB 3.0)と、Gen2x1はUSB 3.1 Gen2と同じもの。両端がType-Cのケーブルを使用した際に2レーンが利用可能になり、x2のモードを使用できる。ZenAMDがメインストリーム向けのRyzenシリーズおよびハイエンドデスクトップ向けのRyzen Threadripperシリーズ、サーバー向けのEPYCシリーズで採用しているマイクロアーキテクチャ。2017年登場の第1世代ではZen、2018年登場の第2世代ではZen+、2019年登場の第3世代ではZen 2が登場。従来のAMD CPUのマイクロアーキテクチャよりもクロックあたりに処理可能な命令数が大きく増加したほか、製造プロセスの縮小に伴いZen 2では最大CPUコア数が倍増した。2020年登場のRyzen 5000シリーズではZen 3へと進化、2021年現在のCPU市場を牽引する存在となっている。アドレサブルRGB(Addressable RGB)複数のLEDを搭載した発光パーツのうち、任意のLEDの発光を行なえるようにしたもの。発光コントロールには複数の方式があり、実際にコントロールするには発光デバイス、コントロールデバイス(マザーボード、LEDコントローラなど)の両方が同じ方式に対応している必要がある。空冷(Air Cooling)空気との熱交換により目的物を冷却する方法のこと。熱が温度の高いところから低いところへ伝わる性質を利用した「自然空冷」と、ファンなどを使って空気を熱源に吹き付ける「強制空冷」があり、一般的にはこの二つの空冷方式を組み合わせて冷却が行なわれている。熱が空気に触れる表面積を広くすることで、効率的に冷やすことができるようヒートシンクやヒートパイプ、ファンといった部品を組み合わせて利用している。水冷(Water Cooling)水を用いて冷却する方法。不凍剤や防腐剤などを混入させた専用の冷却液(クーラント)を利用するために「液冷」とも呼ばれる。現在のCPUクーラーでは取り扱いが容易な「簡易水冷キット(簡易水冷)」が広く利用されている。水冷パーツ同士をパイプで接続し冷却液も封入済みの状態で売られており、クーラー自体の組み立てと、運用中のメンテナンスが不要である点がメリット。対義的な存在として、各種水冷パーツをユーザーが一つ一つ組み合わせて構築したものを“本格水冷”と呼ぶ。チップセット(Chipset)広義では、複数のチップを組み合わせてまとまった機能を提供するものを指すが、PCでは、マザーボードに必要な機能を1〜数個のチップにまとめたものを、とくにチップセットと呼んでいる。古くは、汎用チップの組み合わせで個々の機能を実装していたが、近年はチップセットの主要機能の一部はCPUに内蔵され、残った機能が集約された結果1チップ構成となっている。ヒートシンク(Heat Sink)CPUをはじめ、発熱量の多いチップに取り付けられる、アルミなどで作られた金属板。空気中に効率よく熱を逃がすため、表面にフィンと呼ばれる多数の薄い板を持たせて表面積を大きく取るものが多い。CPUに取り付けるタイプはCPUクーラーとも呼ばれ、ヒートシンクとファンを併用したものが一般的。光り物LEDなどを搭載することで発光演出ができるパーツ。マシンの見栄えを意識した発光機能を搭載するマザーボード、ケース、ファンやLEDテープなどが該当する。PCケースのアクセスランプやマザーボードの電源ランプといったベーシックな機能としての発光は含まれない。ピン折れPGAと呼ばれるタイプのパッケージを採用したCPUの裏側には、CPU側の基板とマザーボード側のCPUソケットを電気的に接続するためのピンが用意されている。これを誤って折ってしまうことをピン折れ、曲げてしまうことをピン曲げと呼んでいる。AMDのRyzenシリーズは最新の第3世代でもPGAタイプであり、CPUの取り付け・保管の際にはピン折れ・曲げの危険性がある。IntelのCPUはCPU側には接点しか持たないLGAと呼ばれるパッケージに移行しているが、こちらは対応するマザーボード上のCPUソケットに多数のピンがあり、ピン破損の危険性がなくなったわけではない。フォームファクター(Form Factor)1981年にIBMがリリースしたPC/ATベースのPCをリファレンスに多くのベンダーが製品を提供したことに始まり、マザーボードやケースなどの規格を指すときによく使われる。1990年代半ば以降はIntelのデザインがリファレンスとなる。プラットフォーム(Platform)一定の機能や目的を実現するために必要な技術やコンポーネントなどで構成した、ベースとなる基本部分(基盤)をプラットフォームと言う。これに名前を付け、要件を満たすシステムにロゴを付けるなどしてユーザーに訴求する手法のことをプラットフォームブランドと呼ぶ。表面からは分かりにくいPCのプラットフォームでは、機能や性能、品質などが一定の基準を満たしていることを容易に識別可能にすると同時に、心理的、感覚的な価値観を高めたり、製品を明確に差別化したりできるメリットもあり、こうしたブランディングは盛んに採り入れられている。メモリ(Memory)PCが処理するデータを一時的に記録しておく装置。PCのメインメモリのほか、ビデオカード(ビデオメモリ、グラフィックスメモリ、VRAMなどと呼ばれる)や一部のSSDにも搭載されているが、自作PCにおいて単に“メモリ”と言った場合はメインメモリを指すことが多い。

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