坂口恭平さん『躁鬱大学』インタビュー 気分の波に悩むすべての人に贈る“読むクスリ”
躁鬱とは体質である
――昨年noteにアップされた時には、躁鬱病と診断されたことがない自分には関係ない内容かなと思って読んでいなかったのですが、大間違いでした。気分の浮き沈みは、大なり小なり人にはつきものですもんね。
――本書の「その10
大切なのは「自分の言葉」を使うこと
――特に躁鬱人(躁鬱病の人を指す坂口さんの造語)は、評価の基準が常に他人にあるそうですね。
<10年間「いのっちの電話」(坂口さん自身が携帯電話番号を公表し、自殺志願者の悩みを聞く電話相談)をやってきて、みんなの死にたいライフスタイル、悩み方って10パターンもないんです。もう分かるんですよ、電話を受けると相手が言おうとしていることが。
――素直になれないんですね。前回の『cook』のインタビューで、坂口さんが「自分はプロの素直な人」と言っていたのがとても印象に残っています。でも、坂口さんレベルのプロフェッショナルな素直になるのはかなりハードルが高いです。
――坂口さんはこの2年ほどは鬱状態になっていないそうですね。
――それは坂口さんの中でも何か変わったということでしょうか?
<1日も絵を描くことを休んでいなかったから、創ることを一切止めてない。あと、畑にも毎日行っていました。多少きつくても体を動かす、手を動かすことを身につけることによって、鬱という概念から完全に解けていけるんです。
――他者の言葉で、自分で自分を一方的に傷つけているんですね。
坂口恭平は超人なのか?
――でも、やっぱり坂口さんだから、こんなことができるんじゃないかっていう気持ちもあります。
――継続の賜物であり、坂口さんにとってやっぱり日課はすごく大事なんですね。一方で、坂口さんの自由で多彩な活動や生き方を見ていて、「悔しい」と漏らした友人がいます。自分のこれまでの生き方、窮屈な中で頑張ってきたことを否定されているような気がすると。
――『躁鬱大学』もその一つなんですね。