2021年の世界PC出荷台数、供給不足に苦しむも2012年以来の高水準
2021年の世界PC出荷台数(予測)は2012年以来の高水準だった。サプライチェーン問題の影響などから第4四半期は減速、新型コロナ禍から始まった需要増が収束に向かい始めているが、健全な状態を取り戻したPC市場は好調を数年維持できるとGartnerやIDCのアナリストは予測している。
Gartnerによる2021年第4四半期の世界PC出荷台数予測は、8839万2000台で前年同期比5%減。7四半期ぶりのマイナスになった。サプライチェーン問題の長期化に加えて、公立学校の対面授業の再開によってChromebookの出荷台数が減少、米市場が24.2%減の急減だったのが全体のブレーキになった。EMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)は同7.4%増で2600万台を超えた。日本を除くアジア太平洋市場は同11.5%増だった。
第4四半期の前年割れについて、「パンデミックに端を発したPC需要の大規模で予想外の伸びの終焉を意味すると思われる」としている。しかし、過去最大規模の成長を遂げた2020年と比べた減速であり、第4四半期もPC需要は依然として強かった。これまでPC市場は平均販売価格(ASP)を上昇させながら出荷台数を伸ばしてきた。これから減速が続くとしても、少なくとも2〜3年は新型コロナ禍前のような水準にまで減少することはないと予測している。
ベンダー別ではトップのLenovoが前年同期比11.9%減。米国市場の減速とChromebookの需要低迷の影響を色濃く受けた。それらは2位のHPの減少の要因にもなったが、アジア太平洋市場の堅調な伸びによって同社の減少は緩和された。3位のDellは、ラテンアメリカ、EMEA、アジア太平洋での伸びによって同7.9%増だった。
2021年通期の世界PC出荷台数予測は3億3976万9000台で前年比9.9%増。Gartnerは2021年から、デスクトップPC、ノートPC、ウルトラモバイル(タブレットPCなど)にChromebookも含めてPC出荷台数を予測している。
IDCの第4四半期のPC出荷台数予測(デスクトップPC、ノートPC、ワークステーション)は9265万3000台で前年同期比1%増。同社も米国市場などにおける消費者需要や教育需要の減速を認めているが、「PC市場全体が新型コロナ禍前よりはるかに高い水準でリセットされたという見方に変わりはない」としている。
2021年通期の世界PC出荷台数予測は3億4880万台で前年比14.8%増。厳しい物流環境、供給不足がPC市場の足かせになった上で2012年以来となる高水準であり、結果以上にPC市場の成長の可能性は大きかったと指摘している。