米カリフォルニア州、州職員らにワクチン接種証明など求める方針を発表
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は7月26日、全ての州職員(注1)や医療従事者などに対して、ワクチン接種完了の証明(注2)または定期的な検査証明(少なくとも週1回)を求める公衆衛生の命令を出す方針を発表した。命令は8月2日に州職員、9日に医療従事者・集合施設を対象に発効し、医療施設は23日までに完全に順守することが求められる予定。ニューサム知事は、全ての地方自治体や企業の雇用主にも類似の方針を採用することを奨励することも発表した。
ニューサム知事は「われわれはワクチン未接種者間での感染拡大に対処している。危険なデルタ変異株からカリフォルニア住民を守るため新たな取り組みが必要だ」と今回の方針の理由を説明した。同州では、全面的な経済再開を開始した6月初めの時点(2021年6月18日記事参照)に比べ、感染者数は1,000人未満から7月27日時点で7,000人超へと急増している。
ワクチン接種証明などを求める動きは飲食業界にも広がりつつあり、サンフランシスコバー協会は、7月29日から、店内で着席での飲食を希望する客に対して、ワクチン接種完了の証明または72時間以内の陰性の検査証明を求めると発表した。北カリフォルニアでは発表以前から既に、客にマスク着用に加えワクチン接種完了の証明などを求めるレストランやバーがみられるようになっていた。
また、北カリフォルニアのサンタクララ(日系企業約460社所在)(注3)、サンフランシスコ(約200社所在)、コントラコスタの3郡の公衆衛生局は7月22日、共同声明を発表し、職場での新型コロナウイルスの感染拡大予防を図るため、雇用主が従業員にワクチン接種を求めることを強く要請するとした。雇用主には、ワクチン未接種の従業員に対して、州のガイドラインに沿ってマスクの着用や頻繁な新型コロナウイルスの検査を求めることが奨励される。7月16日には、上記のサンフランシスコやサンタクララなどを含む、北カリフォルニアの7郡1市(注4)が、ワクチン接種の状況にかかわらず、公共施設の屋内ではマスク着用を推奨すると発表した。スーパーマーケットや理髪店などでは、来店客に対し、マスク着用を求める店舗も見受けられる。
米国内ではほかに、ニューヨーク市が7月26日、9月13日までに市の全職員に対しワクチン接種または定期検査を義務化することを発表している(2021年7月28日記事参照)。
(注1)7月27日の知事の会見によると、州の職員数は24万6,000人。
(注2)カリフォルニアではワクチン接種の記録を電子上で閲覧可能。ウェブサイト上から、氏名、生年月日、PIN番号送信用の電話番号またはEメールアドレスを入力することで、パソコンやスマートフォンで記録を見ることが可能。また、この電子記録では、米国疾病予防管理センター(CDC)が発行するワクチン接種カードと同じ情報を確認することができる。
(注3)企業数は「ベイエリア日系企業実態調査2020年」に基づく。
(注4)アラメダ郡、コントラコスタ郡、マリン郡、サンフランシスコ郡、サンマテオ郡、サンタクララ郡、ソノマ郡、バークレー市。
(石橋裕貴)