ASCII.jp 1GBまで月290円で上限の設定可能な日本通信SIMの従量制新プランに実際に加入した
日本通信の格安SIMが今話題だ。MVNOの格安SIMの開拓者であったものの近年押され気味だった同社だが、政府の携帯電話値下げ要請の流れに乗ったかたちで、「合理的●●プラン」という名称の新プランで注目を集めるようになった。さらに1月に開始したのが、月290円で1GBの高速通信が利用できる「合理的シンプル290プラン」だ。実際に加入して試した。
日本通信SIM「合理的シンプル290プラン」を申し込むと送られてきた、SIMと設定が書かれたスタートガイド
1GBまで290円で、あとは1GBあたり220円の従量制ただし上限設定で想定外の支払いが防げる
まずは「合理的シンプル290プラン」の内容を見ていこう。電話番号による通話機能付きの音声SIMで、月1GBの高速通信が付いて月290円となる。
月290円で済むのは1GBまでしか使わなかった場合で、それ以上は1GBあたり月220円がプラスされる従量制となっている。ただし、上限設定機能が用意されており、月290円で済ませたいのなら加入後に上限を1GBに設定すればいい。上限を高く設定した場合は、使えば使うほど料金が高くなり、5GBで1170円、10GBで2270円となるが、その場合でも使った分だけの料金となる仕組みだ。このための余った通信量の翌月繰り越しという制度はない。
上位プランとの料金差などを考えると、基本的には月5GB程度までのライトユーザー向けのプランと言える
上限に達した場合は、一般的なインターネットとの通信はほぼ遮断され、日本通信のウェブサイトとマイページにしか接続できないとしている。通常の格安SIMでは(日本通信SIMの他のプランも同様)、200kbpsなど速度が極端に遅くなるものの通信は維持できるが、本プランでは異なっているので注意が必要だ。
また、日本通信SIMではセット端末の販売もなく、初期費用として加入時の手数料の3300円はしっかり取られる。他の「合理的●●プラン」では初期費用相当を含んだ加入パッケージも売られているが、現時点で「合理的シンプル290プラン」はそうしたパッケージからの加入はできない。
通話はアプリ不要で30秒11円と安い かけ放題もお手頃中継電話ではないので音質も良好
日本通信SIMは通話機能も特徴的だ。通話料を安くするのに専用アプリなどは不要で、普通に発信して30秒で11円。3大キャリアや多くの格安SIMが30秒22円と横並びのなかで半額を実現している。協力関係にあるHISモバイルも同様だ(「格安SIMなのにアプリ無しで通話定額&低料金、そして高音質通話が可能なHISモバイルを試した」)。着信履歴からのコールバック時などに発信アプリを間違えて高額になるという心配がない。
また、OCN モバイル ONEやIIJmioなどMVNOの格安SIMでは、中継電話+オートプレフィックスという仕組みで、やはり通話アプリを使わず、同様の料金を実現しているところもあるが、日本通信SIMでは中継電話を用いていない。
その結果、なにが違うかと言えば、現在のスマートフォン同士の通話であればVoLTEによる高音質通話になることだ。中継電話経由ではどうしても音質が劣ってしまうケースがある。この点は日本通信も料金表で「デフォルトの電話アプリから高音質な通話ができます」と記している。
日本通信のSIMから発信した通話を着信した別のスマートフォンの画面。「HD」の印が付き、VoLTEの高音質で通話ができている
音質の良さに加え、通話オプションも用意されている。1ヵ月70分まで使える「70分無料通話オプション」が月700円。「通話かけ放題オプション」で1600円。たとえば、実家に電話をかけるといった、月に1、2回長電話がある人なら、一般的な1回5分、1回10分までの通話定額よりも有利となる。
必ず月290円で抑えるには最初の設定が不可欠
「合理的シンプル290プラン」を必ず月290円で使いたい場合は、従量制となる通話の発信をしないほか、ユーザー側の工夫で1GBまでに収めるか、上限設定をすることが必要だ。
加入したらすぐ、マイページから上限を再設定することが望ましい。初期値は10GBだからだ
現在は初期設定が上限10GBになっているので、加入後すぐにマイページから設定しておきたい。1GBに設定しておいて、それ以上使いたくなっても後からの変更は可能だ。1GBを超えてしまった後では、当然ながら1GBまでに上限を設定できない。設定を忘れて動画の長時間視聴や速度測定、モバイル通信でのアプリアップデートを繰り返すと2270円に達してしまう。1GBに設定するには、次の課金日にならなければ不可能だ。
すでに1.7GB使ってしまったあとでは、上限を1GBに設定することはできない
日本通信の料金請求単位となる課金日は、加入時の日付によって異なり、25日に加入した場合は、翌月25日から次の課金の月となる。月末近くに加入したからといって、すぐに次の料金請求の単位が始まるわけではないことに注意してほしい。
初期費用3300円については特に節約方法はナシ
筆者もMVNOの格安SIMに加入するときは、なんらかのキャンペーンか、ECサイトなどで販売されている加入パックを購入してコストを抑えている。前述のようにECサイトでは「合理的●●プラン」向けの加入パックが売られているが、定価販売のみ。それでも家電量販店のポイントが10%つくことを考えるとそれでもお得。しかし現在は、「合理的シンプル290プラン」にはそのパックからの加入はできない。
仕方なく日本通信SIMのサイトで契約することになるが、初期費用として3300円がかかることをうるさいほどに表示していて、その点は良心的と感じた。初期費用が必要なことをあまりアピールしない通信事業者が多いなか、珍しい対応だ。
今回は平日午後に加入手続きをしたが、翌日には発送され、翌々日の午前中にはSIMが届いたことも好印象。日本通信のウェブサイトには3営業日以内とあるので、ほぼ通常どおりの発送と言えそうだ。
設定が書かれたスタートガイド。特に夜間に手続きした場合の説明がわかりやすい
SIMは届いてから開通手続きをしないと使えない。今回はMNPでなく新たな番号での新規契約だが同様だった。IDとパスワードが必要なマイページから手続きするとほんの数分で使えるようになった。APN設定方法のパラメータは届いた紙に書いてあり。ちなみに手持ちのシャオミ「Redmi 9T」には、プリセットのAPN設定には入っていなかった。