20,500台のWindowsタブレットPC、1人1台環境のメリットを引き出す整備と運用体制
「いっぱい使えるようになりたい」、GIGAスクール端末を初めて手にした子どもたち
このように充実したICT環境を整備した市原市は、昨年11月18日に市原市内のGIGAスクール研究推進校でGIGAスクール端末が児童に配布される様子をメディアに公開。この日は1年生と6年生のクラスで、初めてGIGAスクール端末を起動し、自分のユーザー名とパスワードでログインして、電子ドリルに挑戦するという様子を見ることができた。
昨年11月、市原市内のGIGAスクール研究推進校で端末が児童に配布された同校は、GIGAスクール構想前からモデル校として1人1台環境を実施しているが、“新しい自分の端末”は、子どもたちの受け止め方も異なるようだ。6年生に話を聞いたところ、「いっぱい使いたい。自分の分からないことを調べたり、勉強に役立てたり、自分のパソコンとして使えるのは楽しみです」と意欲的な答えが返ってきた。
一方、1年生はアルファベットに馴染みが少なく、キーボード操作もむずかしい。端末にログインするだけで時間がかかっていたが、子どもたちは配布されたカードを見ながら、自分のユーザー名やパスワードを一生懸命に入力。「触るのが楽しい」「パスワードがむずかしかったけど、がんばれた」「もっと使えるようになりたい」など、とても前向きに取り組んでいたのが印象的だった。
電子ドリルには、カメラからQRコードを読み取ってログイン現在、全国の学校でGIGAスクール端末が配布され、活用が始まっているが、子どもたちにとって、タブレットPCを使う学びは“楽しみ”であることを忘れてはならない。GIGAスクール構想の議論は、“どうすれば教員が使えるようになるか”、“どうすれば授業が変わるか”という、大人目線の話になりがちであるが、子どもたちが最初にタブレットPCを手にしたときに感じる“ワクワク感”に応えられるかどうかを、教育者は試されている。
そのため市原市では、前出の『IChiHaRaスタイル』で提示した4段階の前に、明文化はされていないが“教員が自由に使って良い”というゼロ段階を設けて、現場での積極的なチャレンジを促している。教員のやってみたいマインドを育む重要性に着目している点も、同市が長年ICT活用に取り組んできたノウハウの賜物であるといえる。
また市原市は保護者への情報発信にも力を入れている。保護者の多くはGIGAスクール構想を知らないことが多く、1人1台環境が突然始まってしまうことに不安を感じる家庭も多いだろう。そこで同市では、1人1台環境になると学びはどのように変わるのか、ICT活用で市原市はどのような教育をめざすのか、紙の配布物やプロモーションビデオ、市の広報誌などを通して、積極的に情報発信している。現場でのICT活用を進めていくためには、保護者の理解も欠かせない。こうした情報発信を通じた保護者との接点の作り方は、他の自治体も大いに参考になるだろう。
広報いちはら(令和3年2月分)より抜粋GIGAスクールの取り組みを動画でも発信