IT・IoTソリューション フォーラム2019 【PR】 | 日刊工業新聞 電子版
一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)は5年前に設立し、現在約739名の会員で活動している。メンバーは社員数十名の中小企業からトヨタなどの大企業まで幅広い。IVIは企業・国を超え「つながる」モノづくりを目指している。つながることが最大の競争力になる。そのためにも、企業の垣根を越えケーススタディを共有している。
会員は課題ごとにワーキンググループをつくり検討や実証を進め、成果をセミナーで紹介している。これまでの成果としては、伝承が難しかった「匠の技」の、音や火花などの感覚に基づいて行っていた部分をデータ化し、共有に成功した例などがある。またAI、ホロレンズ、ロボットなどの最新技術を活用した事例もある。この活動でのポイントは技術や現象をデータ化することにある。
IVIの特徴は「つながる工場」と「ゆるやかな標準」。モノづくり現場がデジタルデータによりつながることでムダをなくし、スマートバリューチェーンを実現する。IVIのデジタル化の考え方は欧米型の全てデジタル化するやり方とは異なり、つながるために必要な部分はデジタル化して「見せる」、熟練の技が必要な部分は「見せない」構造にすることを推奨している。つながるためには共通化が必要だが、自社の強みを保ちながら徐々に接続仕様を変化することを提唱している。また、そのためのマニュアルは現場で働く従業員に分かりやすくなければならず、演劇のようにシナリオチャートで伝えるようにしている。
製造業のメガトレンドはデジタル化、サービス化(モノをつくるだけでなくそれのサービス化(メンテナンスやアフターサービスなど))、オープン化だ。「モノづくり」と「コトづくり」両方行うことで製造業はレベルアップする。
製造業のシステム投資は2025年までに取組みを始めておかないと経済損失が大きい、というレポートが経済産業省から出されている(経済産業省DXレポート)。現在ERPなどの基幹システムにシステム費全体の8割投資がされているといわれているが、今後IoTなど新しい領域への先行投資がもっと必要になってくる。世界の時価総額トップ10と日本の時価総額トップ10を比較すると、この10年で時価総額の伸びは世界1.6に対し日本1.1となっている。成長が小さく、このままでは日本の産業が衰退してしまう。個々の会社が生き残るだけでなく産業界全体が活性化することが必要だ。企業間、工場間でつながることで強みを補完しモノとコト(サービス)の競争力を高める取り組みが重要となる。モノを作っているだけの戦いではない。一社で悩むのではなく、IVIのように複数企業がオープンに協力してモノとコトで強みを補完し合って勝ち残る時代になってきている。