ウーバーイーツ元役員が機密持ち出し 地裁、転職先で勤務禁止決定(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
配信
18コメント18件東京地裁=米田堅持撮影
宅配代行サービスを展開する「ウーバーイーツジャパン」が、ナンバー2の地位にあった男性元役員(53)に機密情報を持ち出されたとして、競合他社で働かないよう求める仮処分を申し立て、東京地裁が機密情報の持ち出しを認めて転職先での勤務を禁じる決定を出した。配達員の成果報酬に関する資料などが機密情報に当たると認められ、地裁は転職先で利用される恐れがあると判断した。【クエストの画面も】雨なら報酬が…危険運転を生む「クエスト」 新型コロナウイルス下の「巣ごもり需要」もあり、食品宅配業界は競争が激化している。ウーバー側は裁判で「業者は互いのアプリの仕様や配達員への報酬などを調査している。競合他社に極めて有益な情報が持ち出された」と主張しており、元役員を刑事告訴することも検討している。 2021年5月31日付の決定などによると、元役員は20年1月に営業部門の統括責任者としてウーバーイーツの日本法人に入社。元役員が転職するとの情報を得たウーバー側が21年1月に内部調査すると、顧客からの要望の分析や事業改善計画などが、元役員の社用パソコンから個人のクラウド上に移されていた。社内規定違反の可能性があり自宅待機にしたところ、元役員はメールで退職を伝え、21年2月に食品宅配代行サービス「フードパンダ」のシンガポール法人に転職した。フードパンダは今年1月に日本での事業を終了している。 元役員側は仮処分の審理で「社用パソコンのトラブルに備えたバックアップとして情報を移した」と主張したが、地裁は、退職後も情報が全て削除されたとは認められないとし、転職先で利用される可能性があると判断した。雇用契約に退職後9カ月間は競合他社で働かないとの条項があり、勤務禁止期間は9カ月とした。 ウーバー側は、支払い済みの給与の返還などを含む約5500万円の損害賠償訴訟も東京地裁に起こし、元役員側は今年1月の第1回口頭弁論で請求の棄却を求めた。 調査会社「ICT総研」が21年4月に発表した調査は、18年に3631億円だった国内の食品宅配サービスの市場規模は、23年には6821億円と2倍近くになると推計している。ウーバーイーツジャパンは「持ち出された情報は、業務上極めて高度な機密情報が含まれ、元役員の行為は社会的に許されない」とコメントした。元役員の代理人弁護士は取材に「係争中なのでコメントできない」と回答した。【遠山和宏】
最終更新:毎日新聞