FBIがiPhoneのロックを解除できたのはオーストラリア企業のおかげだった

2021年4月14日(現地時間)、ワシントンポスト紙は、「FBIが銃乱射事件容疑者のiPhoneロックを解除できたのは、オーストラリアのセキュリティ企業のサポートがあったから」と報じました。

2015年12月にアメリカ・カリフォルニア州サンバーナーディーノで銃乱射事件が発生します。この事件の捜査を担当したFBIは、犯人が所有していたiPhone5cのデータを確認しようとしましたが、「暗証番号を10回間違えるとデータが消去される」という機能が妨げとなり、ロックを解除できませんでした。そこでアメリカ政府を通してAppleにロック解除(解除ツールの開発および提供)の要請をしますが、Apple側はセキュリティーの脅威になるとしてこれを拒否しました。


 FBIがiPhoneのロックを解除できたのはオーストラリア企業のおかげだった

以降、iPhoneのロック解除をめぐるFBI(アメリカ政府)とAppleの確執は今日まで続くことになります。しかし、「サンバーナーディーノ銃乱射事件のiPhoneに関するいざこざ」は2016年4月に突如として終息します。FBIが第三者の協力を得て、iPhoneのロック解除に成功したのです。ただし、当時の発表では協力者が誰なのかは明らかにされませんでした。

ワシントンポスト紙によると、今回匿名のリークにより、ロック解除をサポートした第三者がオーストラリアのAzimuth Securityというインターネットセキュリティー企業だったことが判明。同社はシドニーに本社を置く企業で、代表のマーク・ダウド氏はIBMでインターネットセキュリティシステムを担当する主任研究員だった人物。ファウンダーのジョン・マクドナルド氏も、同じく元IBMのセキュリティ研究者でした。

Azimuth社は、iPhoneの充電ケーブル接続に使用するソフトウェアモジュールに脆弱性があることを発見し、その弱点を突くことでメインプロセッサに侵入。パスワード入力の上限を回避することに成功したといいます。その後、上限を気にすることなくパスワード入力を繰り返し、ロックを解除したとのこと。

ちなみに、Azimuth社の研究員であり、今回のロック解除にも貢献したデビッド・ワン氏は、過去にiOSを完璧にコピーした仮想iPhoneを生み出した人物。ワン氏が仮想iPhoneを開発・販売するために立ち上げたCorellium社はAppleから訴えられており、法廷で争っている真っ最中です(昨年12月にはワン氏側有利の判決も出ています)。iPhoneのロックを解除し、仮想iPhoneを生み出した人物がいるAzimuth社は、Appleにとってまさに目の上のたんこぶといえるでしょう。

Source:The Washington Post

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