Why is DOCOMO's churn rate not recovering? The latest trends of telecommunications companies that can be read from financial results announcements

左から石川氏、石野氏、法林氏、房野氏

ドコモの解約率が回復しないのはなぜ?決算発表から読み解く通信会社の最新動向

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は通信キャリア各社の決算について話し合っていきます。(取材は2021年12月時点)●ドコモ、KDDI、ソフトバンク3社は増収減益房野氏:楽天グループは前回記事で話し合いました。ほかの3社はいかがでしたか?石野氏:みんな仲良く増収減益でしたね。法林氏:料金値下げの影響で、やっぱりちょっと利益は減った。石川氏:でも、予想通りなのがすごいですよね。KDDIもソフトバンクも、600億から700億円のマイナス影響があると事前に言っていたけど、ちゃんと半期で300億円マイナスだったじゃないですか。法林氏:きちんと予算が組めているんだなって思ったよね。石野氏:ドコモに関しては、料金値下げの影響というより、MVNOに対する接続料と基本使用料の値下げの影響の方が大きかった。基本使用料は、元々音声を付けて700円くらいだったのが、一律で100円以下に下げちゃっているんですよ。つまりMVNO各社が、800円弱ぐらいだった基本使用料をガンと下げた。当然、ドコモはその分を受け取れなくなっている。値下げ分×MVNOの音声回線数分ぐらい下がっているので、影響は大きかった。上期で200数十億円減収したのかな。房野氏:でも増収なんですよね。石川氏:端末が売れたという話なんだけど、あれも2020年はコロナ禍で売れなかった反動もある。2020年に新発売した「iPhone 12」シリーズは10月に入ってから販売したじゃないですか。法林氏:2020年10月と11月の2回に分かれていた。石川氏:2021年の「iPhone 13」シリーズは9月に売っているから、そのズレが決算期をまたいだ影響があるんじゃないかなって気がするんですけど、誰も質問していなかった。法林氏:2020年はキャリアショップが開いていない期間があった。特に夏場はショップが開いていなかった。あれが大きいと思った。石野氏:4月、5月、6月は、ほぼ営業していなかった。石川氏:単にその差だと思います。法林氏:各キャリアのオンラインショップが、リアルショップをカバーできるぐらい売れれば良かったんだけど、残念ながら、その力はまだない。石野氏:あと、2020年の4月、5月、6月は、よりによって5Gの立ち上げ期で、端末が「これ、本当に買っていいのか?」という感じだった。5G初号機に本当に飛びついていいのかというタイミングで、なおかつショップにも行けなかったので、そりゃ売れないですよね。それと比べると、今は5G端末もこなれていますし、どこに行っても買えますし。ということで、売り上げは各社とも上がっている感じですね。●povoで経済圏を作ろうとしているKDDIの巧さ石川氏:今回の決算でちょっと面白かったのは、ソフトバンクとドコモは“0円プラン”をやらないと言い切ったこと。ソフトバンクは、「ネットワーク維持にお金がかかっている。保守の人がいて、設備は壊れるものだから、0円ではやれない」という話をしていたし、ドコモは「低容量プランはエコノミーMVNOで吸収できるからやりません」ということを言っていた。言ってもいいのかな、大丈夫かなとちょっと思った。法林氏:先日、ネットワーク運用拠点を見に行ったせいもあるんだけど、KDDIはネットワークの設計に長けている人がいるのかなと思った。特に料金絡みは昔から強い印象がある。例えば「EZフラット」。EZフラットは業界初のパケット定額制で、auが初めてやった。房野氏:いつでしたっけ。石川氏:まだケータイの時、2003年。房野氏:20年近く前になるんですね。法林氏:EZフラットと同時に発表された対応端末は、日立製「W11H」、京セラ製「W11K」だったんだけど、auに端末を供給するメーカーの中には、EZフラットを始まることを発表当日まで知らなかったところもあった。石川氏:通信サービスは「CDMA 1X WIN」。石野氏:あの発表会は興奮したなぁ。法林氏:メーカーさんも知らなくて、完全に出し抜いた。後から聞いたら、元々定額制ができるように、ネットワークの構成を作ってあったそうです。石川氏:その話、先日、KDDIの高橋社長に聞いたんですよ。当時、高橋さんたちは「定額制をやりたい」と言ったんだけど、小野寺さん(当時KDDI社長だった小野寺 正氏。2021年4月にKDDI相談役を退任)が「無線で定額制なんてありえん」と猛烈に反対して、そんな中、技術畑で「いやいや、大丈夫だから」と言ったのが田中さん(KDDI代表取締役会長 田中孝司氏)だと。一同:へー。石川氏:あの料金プランによって、KDDIの評価はグッと盛り上がった。法林氏:定額制ができるようにネットワークを構成した。通信の制御とか、端末側でやり取りするデータ容量を制限したりとか。画像のサイズは決められていて、それで作る仕組みがうまく行った。対するドコモはどうだったか。元々ドコモの3GネットワークはNTT品質が求められるので、当然、極めてクオリティの高いネットワークが構築されていた。ただ、バックボーンも含め、運用コストがかなりかかっていた。そのため、どうやっても定額制ではできませんという話にあり、そこでドコモがどうしたかというと、苦肉の策で、当時、5種類くらいあった料金プランのうち、確か6700円以上のプランを契約していればパケット使い放題に入れるようにした。石野氏:そういえば、そんなプランがありましたね。法林氏:バックボーンの通信が増えるんだけど、それは実質的に赤字覚悟の持ち出し。FOMAの通信はW-CDMAの極めて高品質なネットワークで384kbps出ることを売りにしていたので、後ろ側にすごいコストがかかっていたんですよ。KDDIはそうじゃなくて、これからは使い放題の時代になるというのを高橋さん、田中さんたちがわかっていて、やった。それが上手くいった。

@DIME編集部

最終更新:@DIME

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