違反歴がある高齢運転者は免許更新で実車テスト義務! 不合格だと更新NG!? 対策強化の課題とは

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高齢ドライバーの対策強化へ

 日本での高齢化率が上がるなか、いわゆる「高齢ドライバー問題」は社会全体としての課題になっています。【画像】これはエグい。。色々な事故の画像を見る(18枚) そうしたなか、警察庁は2021年11月4日、「道路交通法施行令の一部を改正する政令案に対する意見募集について」のパブリックコメントの募集(期間:2021年11月5日から2021年12月4日)を始めることを明らかにしました。

75歳以上の高齢ドライバーへの対策が強化される

 パブリックコメントとは、法改正などに伴い国民から広く意見を求める制度です。 道交法の改正(令和2年改正道路交通法)での注目点のひとつが、75歳以上の高齢運転者(高齢ドライバー)対策の充実・強化とされています(施行は2022年5月13日)。 そのなかで運転免許証の更新制度を見直し、75歳以上で一定の違反歴がある人は更新時に今回新たに設定された「運転技能検査」の受験が義務化されます。 その検査の結果が一定の基準に達しない人は、運転免許証を更新することができなくなるのです。 高齢ドライバー対策としては近年、2017年3月の道交法改正で大きな変化があり、70歳から74歳の場合、高齢者講習(座学、運転適性検査、実車指導)を2時間に合理化したことです。 さらに、75歳以上の場合、高齢者講習の前に認知機能検査をおこない、認知症のおそれがある人(第一分類)は医師の診断を受けることが義務付けられ、その結果によって運転が可能という診断結果が出れば個別指導を加えた3時間の高齢者講習を受け、または認知症と診断されると運転免許の取消の対象となっています。 そのほか、認知機能の低下のおそれがある人(第二分類)では3時間講習、そして認知機能の低下のおそれがない人(第三分類)は2時間講習を受けて、運転免許証の更新が可能となっています。 今回の改正では、75歳以上で、過去3年間に一定の違反歴がない場合、新しい認知機能検査を受けます。 その結果は、これまでの3つ分類ではなく、「認知症のおそれなし」と「認知症のおそれあり」のいずれかとしました。「認知症のおそれなし」の場合、高齢者講習を受け、また「認知症のおそれあり」ではこれまで第一分類と同じ免許更新までの流れとなります。 今回の改正で最も注目されるのは、75歳以上で誕生日の160日前までの過去3年間に「一定の違反歴(違反行為)」がある場合、実車を使った運転技能検査が義務付けされたことでしょう。運転技能検査とは事実上、運転技術の試験です。 また、「一定の違反歴(違反行為)」とは、信号無視、通行区分違反、通行帯違反等、速度超過、横断等禁止違反、踏切不停止等・遮断踏切立入り、交差点右左折方法違反等、交差点安全進行義務違反、横断歩行者妨害等、安全運転義務違反、そして携帯電話使用等を指します。 では、こうした「一定の違反歴(違反行為)」を警察庁はどうやって決めたのでしょうか。 まず、統計的な見地から考えました。 75歳以上の普通免許所持のドライバーのなかで過去3年間に何らかの違反歴がある人の重大事故率は約1.8倍。また、より重大事故になると2.1倍という統計結果があります。 そのうえで、重大事故につながる個別の違反行為を抽出し、また過去5年間で死亡・重症事故件がゼロの年がある違反行為を除外しました。さらに、こうして抽出された違反行為と類似する違反行為を追加しています。 では、運転技能検査とは具体的にどういう内容なのでしょうか。 決められたコースを走行し、指示速度による走行(1回)、一時停止(2回)、右折・左折(各2回)、信号通過(2回)、段差乗り上げ(1回)など試験項目で、採点は100点満点からの減点方式を採用しています。合格ラインは、第一種免許は70点以上、第二種免許は80点以上です。 例えば、赤信号で一時停止線を超えて横断歩道に入るまで停止しない場合、40点減点となり一発不合格となります。 これまでの高齢者講習では実車指導や個別指導といった範囲でとどめていましたが、今回導入された運転機能検査は、新規に運転免許証を取得する際の試験に近い、厳しい基準を持っているといえます。 なお、運転機能検査は、更新期間満了までに何度でも繰り返して受験することが可能です。

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最終更新:くるまのニュース

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