野村HDや東海東京FH、SBIが語るデジタル証券、「小口化」「コスト減」で何が変わるか |FinTech Journal

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    野村HDや東海東京FH、SBIが語るデジタル証券、「小口化」「コスト減」で何が変わるか

    金融領域におけるブロックチェーンの活用として注目を集めるのがセキュリティトークン(ST)だ。株式や社債などの金融商品をブロックチェーンによる分散台帳技術を用いてトークンとして記録する技術のことで、STによる資金調達はセキュリティトークン・オファリング(STO)と呼ばれる。デジタル証券の事業化を推進する業界のリーダーとして、東海東京フィナンシャル・ホールディングス 常務執行役員の伴 雄司氏、SBI証券 執行役員 STOビジネス推進部長の朏 仁雄氏、野村ホールディングス(野村HD) 執行役員の八木 忠三郎氏、N.Avenue 代表取締役社長の神本 侑季氏(モデレーター)が、今後のSTO市場の見通しについて語った。

    フリーランスライター 阿部欽一

    フリーランスライター 阿部欽一

    <目次>
    1. 海外で2017年スタートのデジタル証券日本の現状は?
    2. 野村HDと東海東京グループのSTOへの取り組み
    3. 不動産のST化は投資家の共感、親近感がベースとなる
    4. 社債発行もマーケティング活用の可能性が広がる
    ※本記事は、2021年3月のN.Avenue主催イベント「blockchain conference btokyo ONLINE 2021」での講演内容をもとに再構成したものです。 2020年5月1日に「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(改正金商法)が施行され、セキュリティトークン(ST)による「電子記録移転権利」が定義された。 STによりトークン化された有価証券は「デジタル証券」とも呼ばれ、株式や社債などの金融商品に付帯する権利をブロックチェーンで記録、管理する資金調達手法がセキュリティトークン・オファリング(STO)だ。 N.Avenue 代表の神本 侑季氏からSTOによってどのように資金調達が変わるかを問われた野村HDの八木 忠三郎氏は、「STによってお金のトークン化が進むと決済、取引がブロックチェーン上で完結することになる。暗号資産と異なり、裏付けとなる資産があるのがSTの特徴で、その点で金商法にある金融商品と同じ位置づけだ」と述べた。 SBI証券 執行役員 STOビジネス推進部長の朏 仁雄氏は、「価値移転のコストが限りなくゼロにできるのがブロックチェーンの価値」だと述べ、資金調達が小口化され、流通が容易になることでさまざまなデジタル証券のユースケースが考えられると、その可能性について言及した。 また、八木氏によると、海外では、2017年より欧米を中心にSTO市場が始まり、2019年までに124件、累計の調達額は9億5,000ドルに上っているということだ こうした状況を受け、国内でも2019年10月に、証券会社9社によって日本STO協会が設立され、現在、日本STO協会は、58社の会員で運営されている。そして、国内市場でも2021年4月にSBI証券が国内初となる一般投資家向けセキュリティトークンオファリング(STO)実施されている。 では、証券各社のSTOの取り組みについてはどうだろうか。八木氏は、野村HDのブロックチェーンの取り組みを紹介した。 まず、有価証券取引基盤の開発について、野村総合研究所(NRI)との合弁でBOOSTRY(ブーストリー)を2019年に設立し、同社は2020年3月、ブロックチェーンを活用したデジタル社債を発行、同7月には不動産を裏付けにしたデジタル証券を発行している。 一方、暗号資産の鍵を安全に保管するための「カストディサービス」については、「暗号資産にはハッキングのリスクがあり、機関投資家の資金が入りにくい課題があるため、課題を解決するためのカストディサービスを海外で展開することにした」と説明した。 STが浸透することで、投資家や資金調達サイドの発行に対するニーズ拡大が期待される。野村ホールディングスでは、STOについて、設計や仕様などを広く公開する「オープン・アーキテクチャ」を指向し「あらゆるニーズに対応するため、自社サービスで囲い込まず幅広くビジネスパートナーと協業していく」としている。 将来的なユースケースとして挙げられるのが「非金銭リターン」だ。たとえば、ショッピングモールの不動産をトークン化し、テナントが土地オーナーに支払う賃料の一部をテナントで使える割引クーポンのような形で投資家に配るものである。「投資家は、テナントを利用する一般消費者でもあるため、トークンを保持することでさまざまな便益を享受でき、テナントは消費者にダイレクトなマーケティングが可能」とし、その利点を述べた。 こうした「株主優待のデジタル化に近いイメージ」の他にも「応援型のクラウドファンディング」などにも応用することが可能で、地域を活性化させるエコシステムが確立できるのではないかと八木氏は話した。 続いて、伴氏は東海東京グループのST事業について紹介した。同社は2019年11月、アジアで初めて政府からのフルライセンスを受けたデジタル証券取引所「iSTOX(アイ・ストックス)」に出資した。iSTOXは2020年2月、シンガポール当局からデジタル証券取引所を運営に必要な発行、保管、セカンダリー市場の提供に至るすべてのライセンスを取得。すでに8件の案件が上場しており、直近の第8号案件では、欧州の不動産をベースに裏付け資産としてのSTを小口化して売り出した。 不動産の証券化は通常、機関投資家による資金調達が行われる。ISTOXでそのうちの一部にあたる500万ユーロをSTとして、資金調達したところ「約6億4000万円の募集金額に対し、開始直後に需要が募集額を大幅に上回るなど、売れ行きが非常に良かった」とのことだ。 伴氏は「機関投資家向けに販売される金融商品をSTで小口化できれば、個人を中心とした投資家のニーズに合致する可能性が高い」と話す。日本においてもREIT(不動産投資信託)の事例として、国内の不動産をシンガポールでST化し、シンガポールと日本の両国で販売するパターンが考えられる。 さらに今後は、韓国やタイの金融機関からも出資を受けることを目指し、各国でSTの市場が整備でき次第、ブロックチェーンで接続することにより「アジア各国にSTが上場され、同時に セカンダリー市場(すでに発行された証券を扱う市場)に流通される」世界を目指しているということだ。伴氏は、「個人投資家がスマホを使って、『24時間365日いつでも投資』ができる世界が近づいている」と話した。【次ページ】不動産のST化は投資家の共感、親近感がベースとなる

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