いじめ、ゲーム、授業妨害…「GIGAスクール構想」端末で子どもたちに起きていること

GIGAスクール構想によって、全国の小中学生に一人一台端末が実現した。一方で、この学校貸与の端末によっていじめが行われ、その結果、町田市の小学6年生が自殺したことが社会問題となっている。実は、学校貸与端末による問題はこれだけにとどまらない。

「子どもの小学校では、クラス内のチャットルームで、ある子が匿名で「死ね」と書かれてしまって。その子はすぐに担任に相談して、犯人が名乗り出るまで、全員タブレット利用禁止になったそうです」とある40代女性は顔をしかめる。「まだ小学3年生なのに、そんなことがあるんですね…」

実は、このような話はそれほど珍しいわけではない。多くの学校で起きている学校貸与端末によるトラブル実態と対策について考えていきたい。

情報モラル教育・見守り・最低限の制限は必須

まず、多くの保護者が懸念するであろうこと、町田市のいじめ問題のようなことはどの学校でも起きることなのかについて整理したい。

いじめ、ゲーム、授業妨害…「GIGAスクール構想」端末で子どもたちに起きていること

町田市のいじめ問題は、児童同士自由にコミュニケーションできた上、IDは所属学級と出席番号を組み合わせたもので、パスワードは「123456789」に統一されていた。教員が気づかないところで、いじめられた当人が見られる場にチャットで悪口が書き込まれる状態となっていたという。

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文部科学省はGIGAスクール構想導入にあたって「はじめてのパスワード指導」として、「アカウントもパスワードも他人に教えてはならないこと、自分でしっかり管理する必要があることを指導」すべきとしており、この学校が勝手な運用でパスワードを統一のものにしていたと考えられる。

また、LINEみらい財団の「一人一台端末環境におけるICT活用と情報モラル教育の実践に関する調査結果報告書*」(2021年8月)によると、児童生徒間のコミュニケーションが行われている割合は、小学校で36.6%、中学校で28.0%。コミュニケーションツールはほぼすべての学校で学習支援ツールを通して行われており、教員が書き込みを管理できる環境となっている。

一方、過去一年間に学校貸与端末を利用する際にネットトラブルが起きた割合は、小学校で18.5%、中学校で39.3%に上る。トラブル内容は、コミュニケーショントラブル、長時間利用による健康上の問題、有害情報など不適切サイトの閲覧、個人情報・プライバシー関連問題などが多いが、著作権侵害等知的財産権関連などに並んで、なりすまし等のネットワーク上の不正行為も少なくない。* https://d.line-scdn.net/stf/linecorp/ja/csr/ICT_moral_report_20210805.pdf

子どもたちがなりすましやアカウント乗っ取り、乗っ取られなどのトラブルを起こすことは、けっして珍しいことではないのだ。ネットトラブルの発生は学校内だけでなく、家庭でも多く起きている。

つまり、他の学校でも誹謗中傷などのいじめ問題、なりすまし問題などは起きているが、教師が問題に気付ける環境で行われていることが多い点が異なる。いじめや人間関係などの指導、教育につながっていると考えられるのだ。

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